「呪いが呼ぶのは破滅か、それとも救いか」誰袖の悲しみの果てに見えた“江戸の笑い”と蔦重の原点【NHK大河『べらぼう』第29回】
てい（橋本愛） 政演（古川雄大） 大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」29話（8月3日放送）より(C)NHK
さらに、この男は花魁・浮名に駆け落ちから心中に至る演技に付き合ってほしいと懇願。浮名は申し出を一度は断ったものの、身請けを条件にされると、身請けと駆け落ちを同時に演じることに同意しました。そして、なぜか、女郎屋の主人たちは二人の門出に涙を流し、あたたかく見送っています。
政演（古川雄大） 誰袖（福原遥） 大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」29話（8月3日放送）より(C)NHK
蔦重がこの本を読み終えると、誰袖は「こんな駆け落ち！フフフ！」と声を出して笑いました。心を失っていた誰袖ですが、感情が再び戻ったのです。蔦重は「俺ができる仇討ちは 佐野が奪った お前の笑顔を取り戻すことなんだ」と胸の内を伝えていましたが、ストーリーのおもしろさはさることながら、蔦重のあたたかな愛情が誰袖の心を取り戻したのです。
誰袖（福原遥） 大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」29話（8月3日放送）より(C)NHK
恋人を失った誰袖は、藁人形で呪いをかけたり、死を試みるほどの絶望に襲われました。しかし、彼女は意知に愛され、蔦重や志げ（山村紅葉）など、心から大切に思ってくれる人たちもいます。もちろん、彼女の境遇は悲しいものであるものの、多くの人から大切に思ってもらえるのは幸せなことです。
それにしても、艶次郎は愚かであるものの、愛嬌がありどこか憎めないキャラクターです。自分が痛い思いをしてでも不特定多数の誰かから“〇〇な人”と思われたい欲求は、実のところ多くの人が少なからずもっているのかもしれません。だからこそ、私たちは艶次郎を受け入れ、彼の姿に笑えるのだと思います。皆さんも周りにも艶次郎のような人がいるかもしれません。
▶▶意外と知らなかった「丑の刻参り」のお作法とは。「いわくつきの振袖のせいで江戸が灰になった」明暦の大火の原因も呪いだった!?
スポンサーリンク
