「子どもが悲しそうに言ったんです…」ようやく気づいた、“これはモラハラだった”という現実
きっかけは、子どものひとこと
そんなある日、保育園の帰り道、 長男がポツリとこう言いました。
「パパ、ママに怒られると悲しそうな顔してるよね」
Tさんは、子どもの前でだけは笑顔でいようと頑張っていたつもりでした。でも、長男は気づいていたのです。父が傷ついていること、そしてそれを言葉にできずにいることを。
この日を境に、Tさんはようやく冷静に、自分の状況を見つめ直しはじめました。妻からの暴言、無視、過剰な非難……。気づけば、自分は「怒らせないように」行動し、「波風を立てないこと」を最優先にしていました。
妻の機嫌ひとつで家の空気が決まり、自分の意見は通ることがない。そんな日々の積み重ねのなかで、「これって“モラハラ”なんじゃないか」と、ようやく疑問が生まれたのです。
意を決して、電話相談を利用してみました。対応してくれたカウンセラーの女性は、Tさんの話を丁寧に、最後まで聞いてくれました。そして、こう言ったのです。
「今までお辛かったですね。それは、モラルハラスメントですよ」
その瞬間、Tさんの目から涙があふれました。
この苦しみは、“甘え”でも“我慢の足りなさ”でもなかった。
「ああ、自分は傷ついていたんだ」
ようやく、自分の痛みを認めることができたのです。
誰かの機嫌で、自分の人生を曲げたくない 次ページ









