「ふくの死、田沼意次の失脚」洪水と飢饉が奪った命と権力。蔦重たちを襲う絶望の連鎖【NHK大河『べらぼう』第31回】
家治の死と意次の失脚

家治(眞島秀和) 治済(生田斗真) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」31話(8月17日放送)より(C)NHK
江戸城でも家治(眞島秀和)を中心に荒れ模様です…。
家治は治済(生田斗真)が考えていることが分からないと悩む意次に、次のように述べていました。
「あやつは…天に なりたいのよ。あやつは 人の命運を操り 将軍の座を決する 天になりたいのだ….。[中略]将軍の控えに生まれついた あの者なりの復讐であるのかもしれぬな…。」
本作では、治済が操り人形を内に秘めた思いを湛えた表情で操る姿が暗示的に何度か映し出されていましたが、これらのシーンは家治の台詞に結びつきます。家治の台詞からこれらのシーンは治済の願望を描いていたと明かされたように思います。
家治は治済を含む一連の問題の解明に注力していましたが、知保の方(高梨臨)と大崎(映美くらら)が用意した醍醐に含まれた毒が原因で、志を半ばにしてこの世を去りました。
家治は床に臥せりながらも、西の丸(長尾翼)に「田沼主殿頭は…まとうどの者である。[中略]臣下には 正直な者を重用せよ…」と遺言を伝えた後、治済に息子である家基(奥智哉)に訴えかけるように見せかけ、「天は見ておるぞ!天は 天の名を驕る おごりを許さぬ!これからは 世も 天の一部となる…余が見ておることを ゆめゆめ忘れるな!」と最後の力を絞って忠告していました。
意次に「生きて守らねばならぬものがある!」と自身の思いを力強い口調で述べていた家治ですから、この世に心残りが存分にあったはずです。治済のもとへとわずかに残された力を振り絞り、必死に這いつくばって進む姿には無念や怒りが感じられ、心が締め付けられるようでした。
一方、意次は康福(相島一之)に丸め込まれ、老中の座を自ら退きました。源内(安田顕)と国の未来を高らかに語っていた彼の姿を知っているからこそ、意次の心を思うと残念でなりません。
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