浮気の予感に、自転車でホテルの駐車場を探し回ると【#婚外恋愛6】

2018.03.08 LOVE

浮気に悩まされる付き合い

 

 

F子はバツイチで、20代の頃に離婚してからはずっと独身で過ごしてきた。

本来は勝ち気な性格で、面倒見の良さから年代を問わず人に慕われる女性だった。友人が多く、恋の相手も中にはいたようだが、結局40歳を過ぎても再婚する気配はなかった。

実家暮らしだが好きな会社でずっと働いてきたF子は、恋愛より仕事や趣味にのめり込む時間のほうが多かったのが原因かもしれない。

そんなF子が今の彼氏と知り合ったのは、同じく独身の友人たちが開いた合コンだった。

F子より5歳年上で看護師をしている彼は、同じくバツイチで子どもはおらず、気ままな独身生活を続けているようだった。合コンに参加したのも「暇つぶし」とF子には語っていたようだが、今になって思うと「遊べる女を物色しに来てたのよ」というのがF子の感想だ。

そんな彼が目をつけたのが、趣味のジム通いでスタイルが良く、顔の造作も若々しさを感じさせるF子だった。

彼がF子に猛烈なアプローチをしているのは聞いていたが、最初からF子も乗り気だったわけではない。

「女の勘っていうの? この人絶対遊んでるよなぁって。いつもスマホ見るし、触らせないし」

車の免許がなく歩いて会社まで通うF子の退社を狙って会社の前まで迎えに来たり、休日は映画や食事に誘ったりと、彼の「求愛」は続いた。

そしてF子も、「断るのがだんだん面倒くさくなってきて」彼を受け入れる時間が増え、気がつけば旅行まで一緒に出かける間柄になっていた。

そうなると体の関係を持つのは早く、F子の口から「付き合うことにしたの」と興奮したように告げられたとき、友人たちは素直に祝福の言葉を贈った。

だが、幸せなノロケを聞けていたのは始めの半年くらいで、だんだんとF子の表情は沈みがちになり、彼についての言葉が少なくなってきた。

理由を訊くと、

「彼、浮気しているみたい……」

あぁやっぱり、という思いはあった。話を聞いていると彼にはおかしな点がいくつもあった。

ホテルではトイレにまでスマホを持ち込み、泊まるときも絶対に体から離して置くことはない。一緒にいればLINEの通知音は幾度も鳴り、その度に「友達だよ」「後輩が」「母が」と言われたが、

「夜中の2時にLINEしてくる会社の人ってどんな男なのよ?」

とF子は口を歪めて吐き捨てた。

助手席のシートは位置が変わっていることが多く、たまに芳香剤以外の匂いがすることもあった。それはまるで「直前まで誰か乗っていたような」痕跡を残していて、その度にF子は「遊ぶ女と順番に会っているみたい」と感じていた。

「そんな男、やめちゃえば?」と何度か言ったが、F子が彼と別れられないのは

「遊ばれている女のひとり」

という事実が許せないからだった。

いつか、自分を選ばせてやる。そんな暗い情熱がF子を支配していて、それからは彼の浮気の証拠を掴むことに躍起になっていった。

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