大奥トップの心理戦と、命がけで守られた友情。新之助の最期に託された“民を思う心”【NHK大河『べらぼう』第33回】
「命の長さより質」ともいわれるが…
「俺は…何のために生まれてきたのか分からぬ男だった…。貧乏侍の三男に生まれ 源内先生の門をたたくも 秀でた才もなく…おふくと坊のことも守れず…。[中略]世を明るくする男を守るために 生まれて…きた…。」

蔦重(横浜流星) 新之助(井之脇海) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」33話(8月31日放送)より(C)NHK
新之助は自身が語るように、生まれが貧しく、蔦重や源内(安田顕)のように秀でた才能はないのかもしれない。けれども、蔦重や源内から愛され、長屋の住民にも頼られる人柄の持ち主です。そして、ふくに“愛”を与えた男でもあります。
自分が周囲に与える価値に気付かない人は多いと思いますが、新之助もその一人といえるかもしれません。そんな悲しい思いを抱いていた彼が、蔦重を命がけで守り、そのことを生まれてきた意味と思いながらこの世を去ったのです。
歌麿(染谷将太)が「[この世を去るとき]とびきり いい顔しちゃいなかったかい?」と、蔦重に新之助の墓前で問いかけたように、新之助は苦労や悲しみも多い人生であったものの、“楽しいことも山ほどあった人生”だったはず。

蔦重(横浜流星) 歌麿(染谷将太) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」33話(8月31日放送)より(C)NHK
俄か祭りの日にキセキが起き、愛する女性とつつましやかであるものの、幸せな家庭を築き、愛の結晶である息子も授かり、父親にもなれました。幸せの絶頂期に絶望に突き落とされたものの、愛や幸せがない人生ではありませんでした。
また、新之助は打ちこわしにおいて仲間たちの行き過ぎた行動をセーブしていましたが、彼の存在があったからこそ、生き続けられた人もいるはずです。
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