「夫に悪気はない」それでも苦しくてたまらない。 心がすり減った妻が、“わかってもらえない結婚”から抜け出すまで
子どもの変化が教えてくれたこと
ある日Tさんは「 最近、息子があまり笑わなくなった」とふと思いました。以前は明るく人懐っこい子で、いつも笑っていたのに、 最近はTさんの顔色をうかがうような仕草を見せるようになっていました。
「お母さん、悲しいの?大丈夫?」その言葉に、Tさんは胸を突かれる思いがしました。
夫の機嫌を損ねないように、 言葉を選び、表情を読み取り、夫が怒らないように、そればかり考えていました。その自分の緊張感が、子どもの心にまで影響していたのです。
「このままでは、息子までおかしくなってしまう」
そう気づいたTさんは、 “夫を理解しようとする努力”を、“自分と息子を守る覚悟”に変えました。
「母親が我慢すれば家庭はうまくいく」そう信じてきたTさんにとって、夫と別れることは簡単なことではありません。罪悪感と不安が入り混じり、夜眠れない日もありました。でも、心療内科で医師が話してくれた 「環境を変えなければ、心は休まりませんよ。」その言葉がTさんを動かすきっかけになったのです。
「もう夫のために頑張らなくていい。自分と子供を大事にしていこう」そう決めたことで、夫への恐怖感がなくなって行ったのです。
意思の疎通が取れないASDの夫との関係の中で、 わかってもらおうと努力し続けた人の心は、少しずつ疲れ果てていきます。Tさんも 長い間、自分を責めながら生きてきました。Tさんは、 夫の言葉に過剰に反応せず、期待を手放し、 心の距離を取れるようになったことで、 穏やかさと自信が戻ってきました。
夫は元々人の顔色を気にする人では無いので、Tさんの変化には何も感じていないようです。Tさんも、夫の態度にいちいち怯えずに、「またその態度ね」と心の中で笑えるくらいの余裕を持てるようになりました。
少しずつですが別居の準備も進めていました。その行動は、「逃げ」ではなく、「自分の人生を守る力」になっています。
「夫の機嫌を気にして生きるのではなく、 自分の気持ちを感じながら、自分のペースで生きていく。その思いが、カサンドラ症候群から抜け出すきっかけになったと思います。
と、Tさんは笑顔で話してくれました。
<<本記事の前編:情が通じない ASDの夫に心をすり減らす日々。「結婚前には気づけなかった」意外な理由とは
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