
この人を選んだら、幸せになれますか?-38歳・清美の場合(3)-【40女の恋愛事情・story4】
彼は、求人広告の打ち合わせで、最近何度も会社に来ていた。
人事部や企画部など、何件か用事があるらしく、何時間もいることもある。
でもその時に、さりげなく私の行動をチェックしていただなんて。
「よく見てるのね」
「面白かったんです。今日はどの男と仲良くしてるかなって探すのが」
「だったら、どうして私を誘ったの?」
「僕でもOKしてもらえるかなって試してみたんです」
「それだけ?」
「そうですよ、いや、それだけじゃ、ないかな」
彼は私の心の中を覗くように、じっと見つめてきた。
「そんなことしても意味ないですよって、言いたかったんです」
「……どういうこと?」
「だって、誰のことも好きじゃないですよね? だから誰にでもいい顔が、できるんですよね?」
「……」
「だったら意味ないじゃないですか。なんとも思ってない人と飲んだって、時間の無駄ですよね? その時間だけは楽しいかもしれないけど、でも、終わったら、またむなしさがこみ上げてくるだけですよ?」
何も言えなくなった。
彼は私を見抜いていたのだ。
ちょっと優しくすれば誘いに乗ってくる男たちと戯れているだけの私を、呆れて見ていたのだ。
悔しくて恥ずかしくて、泣きそうだった。
その時、私のスマートフォンに、同僚からのメッセージが来た。
『スノボの予約入れておくよ、いつにする?』
ホーム画面に、同僚の顔アイコンごと表示されてしまったので、彼の目にも文字が飛び込んでしまった。
「ふうん、スノボ、行くんですか」
「そうよ」
「全然楽しそうじゃないですね。本当は行きたくないんですか?」
「楽しみよ」
「本当にそうかなあ」
彼はにやにやしながら私を見つめている。
「意地悪ね」
「そうですか? 僕は、本当のことを言ってるだけだと思いますよ」
「だから、そこが意地悪なの」
私は目線を落とした。
全部見抜かれている。
観察されている。
悔しいけれど、嫌じゃなかった。
それどころかとても、嬉しい。
私のことをこんなに気にしてくれている人がいる。
心配してくれている人がいる。
そしてわざわざ叱ってくれる。
年下くんが私のことをなんと思っているかは、わからない。
でも彼は私を、理解しようとしてくれている。
表面だけの私だけじゃなく、もっともっと奥にある私までもを。
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