「49歳がいちばん不幸」と思う人が、世界中で多いのはなぜか?【美容ジャーナリスト 齋藤 薫さんと考える「閉経」】

「閉経」の前後に訪れる更年期。オトナサローネ読者のなかには、閉経も更年期もいいコトなんて1つもないと感じている方も多い印象でした。けれど、最近は少しずつ変わってきているようなのです。ある調査(※1)によると、「閉経」という言葉にネガティブな印象を持っている人は41%、そうでない人は59%。社会全体で「閉経」をポジティブにとらえる人々が多数派となっています。それに伴い、閉経後の女性の生き方にも注目が集まってきています。

 

『年齢革命 閉経からが人生だ!』(齋藤 薫/文藝春秋刊)で、齋藤さんがつづっている女性の身体や生き方についての話から、私たちが閉経後も充実した毎日を送るためには、自身の身体の変化をどう受け止めていけばいいのかを、一緒に考えていきましょう。

 

※1  女性誌『CREA』によるSNS上で年齢・性別不問で行った調査。

 

 

なぜ「49ばん」と多いのか?

世界規模で行われた幸福度調査(※2)やいくつかの幸福度研究が、「一番不幸を感じる年齢」を奇しくもみな一様に〝47歳から49歳〞と伝えていますしかもこれは平均値というよりリアルな不幸年齢、きっと思い当たるはず。

私自身の場合も、まさに49歳。50代を目前にした時のあの不幸感、今もまざまざ思い出されるほどなのだから。

 

まず単純に、50代から先がどんな世界になっているのか、全く分からないからこそ暗闇すぎて、意味なく怖かった。ましてや私の更年期は今から20年近く前のこと、50代はもっと高齢者なイメージで、だから尚更未来は暗かったのです。言い換えるなら、とてもじゃないが「50代で転職しよう」などと思い立てるような時代ではなかったわけで、むしろ仕事においても、自分の限界が見えてしまい、落胆や虚無感も生まれてくる年齢。それらが綯交ぜになって〝老いること〞への漠然とした恐怖となったのです。50という数字はやっぱり重く、40代までとは明らかにフェーズが変わるのです。

 

※2  米ダートマス大学のデービッド・ブランチフラワー教授の論文「人生の幸福度と年齢の関係」によると、人生における幸福感が最も薄れるのは先進国で2歳、発展途上国で 48.2歳となった。

 

 

―――47歳から49歳は、もうすぐ50代ということで身体も気持ちもゆらぎを感じる年齢ですもんね。

じつは後から気がついたのが、この頃ちょうど更年期に差しかかっていたこと。更年期症状もちゃんとあったのに、正直、それが更年期の影響だとは当時全く気づいていなかった。その不幸感も、ひたすら50代を目前にした重圧のせいだと思い込んでいた。でも実際はそこに更年期障害の一つである不安や落ち込み、ある種のうつ症状というものが、深く関係していたのです。

 

―――齋藤さんはどんな更年期症状を感じていらっしゃったのですか?

私の場合、不安が不眠症という形で現れたんです。それまで常にバタンキュー、恥ずかしいくらい寝付きが良かったのに、そういう人間が不眠症になったときの不幸感は計り知れない。人間は、眠らなきゃいけないのに眠れない時、悶々と闇を見つめながら、どんどんネガティブになっていき、極めて深刻な焦燥感とストレスを抱えると言われています。これこそがまさに不幸の正体かもしれないほどに。

 

そこで確信するのは、この50代直前の年齢に〝人生で一番の不幸感を感じる人〞が世界的に多いのは、更年期が大きく影響していること。まさに人生いろいろ、一人一人事情が全く違うのに、不幸な時期だけが特定の年齢に集中するなんて、普通に考えたらありえない。しかし49歳には更年期が関わってくるから、余計な不安や憂鬱が一気に増える、それはある意味全ての女性に共通した運命なんです。いや男性にも同じような時期に更年期があるというのはもはや常識。だから仕事にまつわる人生の節目なども重なって、男女問わず、49歳が一番不幸……全ては、説明がついてしまう話なわけです。

 

>更年期をむしろ「あってよかった」と思える理由とは

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