「49歳がいちばん不幸」と思う人が、世界中で多いのはなぜか?【美容ジャーナリスト 齋藤 薫さんと考える「閉経」】

更年期は、むしろあって良かったと思える理由

―――不眠以外にも更年期症状はありましたか?

今振り返ってみると、自分の更年期障害はかなりひどいものでした。いわゆるホットフラッシュが1日何度も訪れ、寒いのに暑い、頭だけのぼせた状態になるのは毎日のこと。頭痛と肩こりもほぼ毎日あり、不眠症とともに不安症に悩まされたことも、逆に時が過ぎてみて初めて、あれこそが更年期障害だったのだと気づかされたんです。ある時、逆に嵐が過ぎ去るように様々な症状が一気に治まってきたから。

 

想像してみてほしいんです。そうした問題が一度に解消した時の爽快感を。意味不明の不幸感が過ぎ去った後に、必然的に訪れる幸福感を。反動と言うのでしょうか。毒が抜けたように、気持ちが良いほどの安堵と安寧がやって来る。快感にも似たこの感じは、更年期を乗り越えた人にしかわからない。じつはこれが自分にとって心身ともに大きな転機になっていきました。

 

―――といいますと? 齋藤さんも、嵐が過ぎ去るように一気に症状がなくなったということですか。

ほぼ毎日続いたホットフラッシュと頭痛、肩の痛みがぴたりと止まったのは、ビタミンCとE、コエンザイムQ10を多めに併せ飲みし始めて3日目のことでした。それまでも漢方を試して体質に合わなかったり、ホルモン療法を検討して、でも〝これってやめ時がわからない〞と躊躇したり、あれこれ試行錯誤しながら行き着いたのが、ビタミン補充と健康サプリを飲むという、驚くほど身近な方法だったのです。

しかも、結局のところこれは、いずれも細胞力を高めるアプローチ。酸化ストレスから細胞を守り免疫力を高めるCとE、細胞のエネルギーを高めるQ10と、じつは更年期から抜け出すのにも、生命力そのものを底上げするような働きが必要だったのです。

 

女性ホルモンの激減は避けられぬ宿命。でも細胞をパワーアップさせれば、人間の体はそれを補い、乗り越える力を生む仕組みを持っている。なるほど、そういうことだったのかと膝を打つ思いでした。人間は根幹をしっかり立て直せば、いくらでも蘇ることの証だから。更年期=女性ホルモンの減少……そればかりが注目されがちだけれど、細胞力の低下をサポートすれば、ただ失うだけじゃない。むしろ新しい力が目を覚ますことに自ら気づいたのです。

 

人間は年齢とともにただただ下降線をたどるだけ、坂を転げ落ちるようにまっすぐ老化していくものだとばかり思っていたけれど、全くそうでないことに気づかせてくれ、逆に歳をとることへの自信をくれたのが、更年期。むしろあって良かったと思うほどなのです。

 

 

本記事では、更年期について語っていただきました。関連記事『上がってしまったら、あとは老いていくだけ?50代以降に高まる能力とは』では、閉経後の世代のほうが若い世代よりも高まっていくある能力について齋藤 薫さんにお話しいただきます。

 

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齋藤 薫(さいとうかおる)

美容ジャーナリスト、エッセイスト。東京都生まれ。女性誌編集者を経て、多数の女性誌やウェブメディアに連載エッセイを持つ美容ジーナリストに。美容記事の企画、化粧品の開発、アドバイザーなど幅広く活躍。著書に『“一生美人”力』シリーズ(朝日新聞出版)、『大人の女よ! 清潔感を纏いなさい』、『だから“躾のある人” は美しい』(ともに集英社文庫)など。

 

 

※本記事は書籍『年齢革命 閉経からが人生だ!』から一部抜粋・編集しました。

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