上がってしまったら、あとは老いていくだけ?50代以降に高まる能力とは【美容ジャーナリスト 齋藤 薫さんと考える「閉経」】

「閉経」の前後に訪れる更年期は、オトナサローネ読者にとって注目度の高いテーマです。心身のゆらぎによってあらわれる更年期症状のつらさが早く過ぎ去ってほしい、けれど閉経後の自分がどうなってしまうのかも不安……。私たちは、そんな複雑な心情とどう向き合えばいいのでしょうか。

 

関連記事『「49歳がいちばん不幸」と思う人が、世界中で多いのはなぜか?』に続き、『年齢革命 閉経からが人生だ!』(齋藤 薫/文藝春秋刊)で、齋藤さんがつづっている女性の身体や生き方についてのお話を伺いました。私たちが閉経後も充実した毎日を送るためには、自身の身体の変化をどう受け止めていけばいいのか、のヒントになるはず。

 

◀関連記事『「49歳がいちばん不幸」と思う人が、世界中で多いのはなぜか?』
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閉経後、なぜか知的欲求が異常に高まるわけ

―――閉経すると身体の変化は自覚しやすいと思うんですが、それ以外に大きな変化を感じたりされましたか?

頭の回転ということだけを考えればもちろん若い方が優れています。情報処理能力のスピードはなんと10代後半がピークとか。いわゆる記憶力は20代30代、人の心を読む能力は、40代50代……これは確かに納得がいく。でも知的能力は、その後さらに高まっていくという事実が最近の研究(※)で明らかになり、60代から70代前半にかけてじつは語彙力が最も高くなるといわれています。

 

一方で更年期以降、記憶力が衰え、物覚えが悪くなるのは紛れもない事実だけれど、知識の蓄積がものを言うのが語彙力。そもそも人は考えをまとめる時に必ず言葉を使う。いや頭の中で言葉を組み立てられないと、そもそも〝思考〞それ自体が生まれないわけで、そういう意味のツールとして言葉を最も上手に使いこなせるのが、60代から70代であるということなんです。

 

つまり更年期以降、閉経してからの方が知的レベルは高まると考えてもいい。人の心を読むのは社会人としての能力でも、そこに語彙力の充実が加わると、人間として最も豊かな生き方ができると言うふうにならないか。語彙力が高いってすなわち、思慮深く、造詣も深く、分析力、想像力、表現力も豊か。話す言葉に含蓄もある……これって人として極めて魅力的で、相手を引きつけ会話に夢中にさせる才能に他ならない。今までにないほど深く尊い話ができるなんて、人生こんなに幸せなことってあるでしょうか。

 

そもそも知性って何のためにあるのか?  最終的には人との会話を彩り豊かで、時に崇高、時にエキサイティングなものにするためにこそあるはずで、その時、経験や得た知識、全てをその会話に生かせるのが知性。もちろん知識をひけらかすのではなく、いかに機知に富んだ言葉にできるかも含めてが真の知性。人を魅了できる言葉が頭の中にいっぱいあるって、どんなに素晴らしいか、それを閉経後に知るって、素敵すぎる。そういう意味でも、60代70代は人生で一番幸せな時代になるはずなのです。そういう意味でも、閉経後に黄金期がやってくると考えてよいのではないでしょうか。

 

※米マサチューセッツ工科大学(M I  T)の認知科学研究者ジョシュア・ハーツホーンらが「加齢に伴う知能の変化」に関する研究で数千人規模の調査を行い、ほぼすべての年齢で常になんらかの能力のピークが来ることがわかった。

 

>年齢を重ねることへの不安を軽減する「欲求」とは

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