「おまえのせいで家がめちゃくちゃだ」責任転嫁する夫。暴力の連鎖を止める“母の決断”とは

2025.11.08 LIFE

暴力のある家庭では、誰もが傷つきます。怒鳴り声が響くたびに、母は怯え、子どもは笑顔を失っていく。Fさんの家庭でも、夫の怒りは日常化し、息子はついに学校へ行けなくなりました。
「私さえ我慢すれば」そう信じて耐えてきた母が、限界を迎えたときに見つけた“出口”とは何だったのか……

前編「父の怒鳴り声が響く家で、息子は不登校になった。母が見つめた“家庭崩壊のはじまり”とは」に続く後編です。

 

責任転嫁という支配

息子が学校へ行かなくなって、数週間が過ぎた頃。夫は苛立ちを隠さなくなりました。

朝の食卓で新聞を広げながら、吐き捨てるように言います。

「まったく、情けないな」

 

Fさんが小さく「息子は心が疲れてるの」と答えると、夫の声が一気に荒くなりました。「甘やかすからだろ! お前がいつも庇うから、こうなるんだ!」Fさんは反射的に「ごめんなさい」と口にし、自分を責めていました。その夜、夫はさらに言葉を重ねます。

「お前の教育のせいで、この家はめちゃくちゃだ」

 

その一言に、Fさんの中で何かが音を立てて崩れ落ちました。「責任転嫁」それは、モラハラやDV加害者が最もよく使う“支配の武器”です。夫は自分の怒鳴り声や暴言を正当化し、「悪いのは自分ではない」という物語を作り上げます。暴力や罵声の原因を妻にすり替えることで、罪悪感から逃れ、同時に相手をコントロールする。こうして“支配の物語”が完成していくのです。

 

夫の中では、「怒る自分は悪くない。家族を正そうとしているだけだ」という歪んだ“正義”が成立しています。それこそが、暴力の再生産を止められない大きな理由です。

Fさんは、どんなに頑張っても夫の怒りが収まらないことに気づいていました。けれど、「子どものために」と思うと逃げることができません。

「私さえ我慢すればいいんだ」

そう信じていましたが、その“我慢”こそが、夫の支配を深めていたのです。

 

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