50歳で国家試験に挑戦した私。55歳で本格スタートさせた、定年もない仕事とは
日々が飛ぶように過ぎていくなか、自分のあり方に漠然と迷う40代50代。まるでトンネルのように横たわる五里霧中ですが、この時期を人生折り返しの好機と捉え、動き出す人もいます。新シリーズ「50歳から考えるこれからの仕事と暮らし」ではそんなチャレンジャーたちの体験談をご紹介します。
<<この記事の前編:「『50代はやりたいことをやる最後のチャンス!』55歳女性が”20年越しの夢”を実現するまで 」
◾️吉田礼子さん
東京都調布市在住の55歳。2歳上の夫と2人暮らし
【50歳から考える これからの仕事と暮らし #2 後編】
48歳、プロにヘアメイクの個人レッスンを受け、49歳で着付け講師に
着付けの師範をとったあと、43歳から某新聞社が主催していたライタースクールに1年ほど通い、卒業。子育てをテーマにしたWEB編集部に所属し、約3年間、執筆やモニターのサポートをする仕事をしていた礼子さん。
成人式や卒業式など着付けの仕事がある時期には、ライターと着付け師、二つの仕事をかけ持ちしました。
47歳のとき、住んでいる街のコミュニティ雑誌の取材記者をしていましたが、事務所が移転するなどの理由でやめることになり、ライターはお休み中です。
そんな頃、着付け教室の仲間から「メイクを習いたいのだけど、一緒に行かないか?」と誘われます。プロのヘアメイクアーティストから月に2回、ヘアメイクを半年間習いました。有名美容専門学校で講師をしている先生で、実践的なヘアメイクを伝授してもらうことができたほか、先生のつてで、着物モデルを撮影する現場へ、アシスタントとして研修に行かせてもらうこともできました。
先生からは、「今後、ヘアメイクの仕事をするなら、いずれは美容師免許をとってみては?」とアドバイスをもらいました。着付け師はあまり求人がなく、いったんは諦めかけたものの、49歳のとき、フリーで仕事をスタートすることができました。ただし、コロナ禍では、全く仕事がない時期もあったそうです。
そんな時期を乗り越え、現在は調布駅近くで自分の着付け教室も開講しています。
「ヘアメイクの仕事がしたい!」50歳で美容学校に通い始める
「ヘアメイクを仕事にするなら、美容学校に行かなくてはいけない」
美容師は国家試験です。礼子さんは50歳を機に、ヘアメイクの先生の紹介で、某美容学校の通信課に通い始めます。このときは、美容室の受付や着付けのアルバイトをしていました。
「仕事をしながら試験対策をするのは、体力的にはきつかったけれど、今が最後のチャンスだと思って、美容師の国家試験の勉強をがんばりました」
実技は一度、落ちてしまいましたが、卒業後も美容学校の授業に参加していたという礼子さん。家では毎晩、練習を重ねて、再受験に臨みます。そして、53歳のときに無事、合格!
美容学校の先生に報告すると、「練習し過ぎて、試験の直前に、喘息の発作を起こしてしまったのは心配したけれど、きっと合格すると思っていたよ!」と温かい言葉が返ってきました。

コロナ禍で美容学校に通った礼子さん
美容学校の授業料は3年間で当時は約70万円(現在は約84万円)。週に1回はリアルな授業もあって、美容師の合格率は8割以上ある学校でした。サポートがしっかりしていることもありがたかったといいます。

美容学校では、リアルで学ぶこともできました
「私は好奇心が旺盛なので、感性で動いてしまうところがあって、外から見ると一貫性がないとよく言われます。でも、何かになりたいと挑戦しては挫折し、葛藤しながら方向性を変えてみたり、時機が来るまで寝かせたりと選択してきた結果が、今の自分を支えています」
美容の仕事は、礼子さんにとって20代の頃に震災で諦めざるをえなかった夢。
「チャンスが巡ってくるまで、寝かせていた夢でもあります。30年越しで実現した形です」
着付けだけだと、60・70代のキャリアの長い人たちに負けてしまうそうですが、着付けとヘアメイクを組み合わせることで、仕事の幅が広がり、息の長い仕事ができるそうです。
「つく人を間違うと、こき使われて、ヨレヨレになって終わりですが、今、師事している先生はギャラもきっちり払ってくれて、とてもよい先生に巡り会えたと思っています」
七五三、成人式……「人生の節目に立ち会える喜びがある仕事です」
本腰を入れ始めた55歳の今が、礼子さんにとってはスタートの年。着付け教室の講師を続けながら、調布駅近くに自身の教室を開き、最近では生徒さんから和装ヘアメイクの相談を受けることも。また、レンタル着物店や家の近くの美容室、撮影事務所など5カ所に登録し、着付けに加えて、ヘアメイクの仕事も増え始めました。

七五三をご自宅でヘアメイク

お客様のお好みを聞いてスタイリング

着付けとヘアメイクをセットでできるのが強みです
結婚式や七五三などは、人生の節目。そこに立ち会い、人をきれいにできることが何よりも嬉しいといいます。
「私は関西のオバチャン気質で、若干おせっかい気味なんです。なので、喜ばれて感動してもらえるこの仕事はすごく性に合っていると思っています」と礼子さん。
着付け師&ヘアメイクは一般的な仕事と異なり、土・日、祝日に稼働することが多い職業。とくに成人式は群馬県、埼玉県などのエリアでは1日早く式典が行われるので、前乗りも含めると、3日間が勝負となります。
「大変ですが、やり切った感がすごくありますね。仕事終わりに、『お疲れ様』と自分自身を労うランチをしながら、プシュッとビールを飲むのが何よりのご褒美です」
そして、「60歳までに、さらに技術を高めて、お客様にも生徒さんにも喜んでもらえる、指名される着付け師&ヘアメイクになりたい」。そんな夢をにこやかに語ってくれました。
本文中の写真提供/吉田礼子さん
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■編集部より■
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