江戸のメディア王・蔦屋重三郎の晩年。「江戸煩い」脚気と『身体開帳略縁起』に残した最後の火。寛政の改革がなければ、蔦重はもう少し長生きできたのか【NHK大河『べらぼう』最終回・史実解説】
死の訪れを察した蔦重 蔦重亡き後の耕書堂は?
蔦重は1797年5月6日に死を予言したといいます。「正午には死ぬかも」と口にし、昼過ぎになると「人生の幕引きを告げる拍子木が鳴らないなぁ」と笑ったと言い伝えられています。この言葉が最後となり、同日の夕刻にこの世を去りました。
蔦重が亡くなったあと、番頭の勇助が耕書堂を継ぎました。「べらぼう」では曲亭馬琴、十返舎一九、葛飾北斎は才能が大きく開花する前の時期が描かれていましたが、彼らが本格的に活躍したのは二代目蔦重こと勇助の時代だったためです。また、京伝や北重政ら蔦重を長らく支え続けていた作家たちも勇助にとって頼りになる存在だったといわれています。
耕書堂は4代にわたって1860年頃まで続きましたが、蔦重の死後は目立った盛況はなく、勢いは衰えていきました。
ドラマ解説▶▶「拍子木…聞こえねぇんだけど」48歳で散った江戸のメディア王・蔦屋重三郎。治済は天罰、歌麿は救済、瀬川は幸運の名跡へ…“べらぼう”最終回が描いた「人生は夢噺」【NHK大河『べらぼう』第48回】
参考資料
伊藤賀一『これ1冊でわかる! 蔦屋重三郎と江戸文化: 元祖・敏腕プロデューサーの生涯と江戸のアーティストたちの謎を解き明かす』Gakken、2024年
三栄(編集)『時空旅人 別冊 蔦屋重三郎 ─江戸のメディア王と波乱万丈の生涯─』三栄書房、2025年
山脇麻生(著)、中村正明(監修)『すぐ読める! 蔦屋重三郎と江戸の黄表紙』時事通信社 、2024年
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