「学校に行きたくない」と言い出せなかった不登校児の精一杯のSOS。学校と母への本音【2025年度ベスト記事セレクション】
問題解決“されてしまった”、その時。初めて気づいた、「それでもやっぱり行きたくない」という本音
初めて「行かない」ことを選んだその日、どう過ごしていたか。その記憶は曖昧です。
「でも、『これはずるいこと?』『誰かに後ろ指を指されているのでは?』と、罪悪感を抱いていたことは覚えています。当時は『皆勤賞』が賞賛されて、『ずる休み』なんて言葉だってある時代でしたから」。
その裏側で、学校側は迅速な対応へと移っていました。
「担任の先生が、間髪入れずに家にやって来ました。休んだ初日か、2日目の午後だったと思います。やんちゃな子が多めのクラスだったからでしょうか、大ベテランの先生だったんですよね。
リビングのソファに、私と母と先生で腰かけて。厳しいけれど筋が通った先生のことを、私は信頼していたので、事情を打ち明けました。とはいえ、話せたのは『委員の仕事で、みんなに話を聞いてもらえないのが嫌だった』という程度。何がショックだったかとか、どう悩んでいるのかとか、うまく説明することは難しくて」。
それでも、手がかかるクラスの様子を誰より知る先生は、何が起こっていたのか、イメージを汲み取ってくれました。
「とてもうれしかったのが、先生が母に『悪いのはさゆりさんではありません。これはクラスの問題です』と言ってくれたこと。『私がおかしいのかな? 嫌われているのかな?』と悩んでいたので、そうじゃなかったんだと思えたのは、大きな救いでした」。
その後間もなく、さゆりさんの手元に届いたのは、クラス全員がしたためた謝罪の手紙でした。
「『さゆりちゃんの気持ちをわかってあげられなかった』『協力しなくてごめんね』って。
先生が今回の件をみんなに投げかけて、手紙を書くという手段に落ち着いたことに、反発心や違和感はありませんでした。でも、手紙を読んで感じたのは、どれも上辺だけだなってこと。4年生にもなれば、『先生はこう書いてほしいんでしょ?』って察しながら作文を書くこともありますよね。まさにそういう感じ。子どもながらに、どの手紙にも真心を感じることができませんでした。
それでも、みんなが『協力する』と言っている以上、私の訴え自体はあっという間に“解決されてしまった”状態になりました」
――さゆりさんがそう表現する裏側には、その時初めて気づいた、複雑な本音がありました。
「不登校の発端となった出来事がクリアになったとしても、やっぱり『行きたくない』と思い続けている自分に気づいたんです。でも、その理由をうまく言語化できなかった。しかも、当時は『学校に行く』というのが、今以上に当たり前の時代。悩みが解決されてしまったからには、行くしかないんだ――そう思いました」。
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