みんな間違えてる「ご存知」「ご存じ」。どっちが正解?
「このことを知っていましたか?」という内容を相手に聞きたい場合、敬語表現としては、次の二つが考えられます。
- このことをご存知でしたか?
- このことをご存じでしたか?
さて、どちらが正しいでしょう。
正解は「ご存じ」
「ご存じ」は、尊敬の意の接頭語「ご」+「存ずる」の連用形「存じ」です。「ご存知」は「じ」の部分を「知」にした当て字とする辞書もあります。新聞社、通信社、公共放送でも、この語については、当て字を用いずに「ご存じ」を使っています。
「存ずる」「存じない」など「ぞん」の次から言葉が変化しますので、「知」は使えないと説明すると、分かりやすいでしょう。
存ずるって?
日常生活では「存ずる」なんて言葉を使う人はそういないかと思いますが、ビジネスシーンでは、非常に多用する言葉です。メールなどで書く時には、変換機能で「ご存知」という当て字を使った言葉も出てきてしまうので、気をつけた方が良さそうですね。さて、この「存ずる」はいったいどういう意味の言葉なのでしょう。
「存ずる」は「思う」「知る」の謙譲語
謙譲語とはもともと自分の行為に対して使う言葉ですが、該当する尊敬語がないために、尊敬語としても許容されています。
例1
- お手すきの折にでも、ご覧いただければと思います。
これを「存じる」を使った文にすると、敬語表現になります。
- お手すきの折にでも、ご覧いただければと存じます。
例2
- 〇〇様のことはよく知っています。
これを「存じる」を使った文にすると、敬語表現になります。
- 〇〇様のことはよく存じています。
さらに「存じている」とは?
さきほどの例2で出てきた「存じています」は頻繁に使う言葉です。「存ずる」よりも「存じている」を使うのは「知る」より「知っている」という表現の方が自然だからです。
ここでポイントなのが「存じ上げる」です。
また、例2で出てきた「存じています」は「存じ上げています」「存じ上げております」などとされることも多いですよね。
- 〇〇様のことはよく存じ上げています。
- 〇〇様のことはよく存じ上げております。
「上げる」という言葉は謙譲の意味を表す敬語の動詞に付いて、意味を強めます。
「差し上げる」「申し上げる」もその例です。
より丁寧な感じが伝わると思いますが、この「存じ上げる」は実は物には使えません。丁寧過ぎるのです。
〇その商品のことは、よく存じています。
×その商品のことは、よく存じ上げております。
ただし、対象の人物の名前など、その人に直接付随するものには、使う時もあります。
〇お名前は、存じています。
〇お名前は、存じ上げております。
以上、「存ずる」「ご存じ」「存じ上げる」などについて説明しました。会話の中では「ご存じ」でも「ご存知」でも音が同じなので気にする必要はありませんが、問題は文章です。
取り急ぎ、あなたのパソコンやスマホで「ごぞんじ」と打ち、「ご存知」が真っ先に出てきた場合は、「ご存じ」を何度か打って学習させておくと良いでしょう。
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