いま伊豆旅ブーム中。週末は熱海の絶景旅館でおこもりを
絶景やご当地グルメ、温泉など旅の楽しみは様々ですが、やはり宿選びは大きな決め手。ひとりでもカップルでも納得できる“ほんとうに泊まりたい宿”をご案内します。第6回は伊豆・熱海の「星野リゾート 界 熱海」です。
良質の温泉でしっとり
星野リゾートが全国に展開する温泉旅館「界」は、「王道なのに、あたらしい。」をキャッチフレーズに、現代に合うくつろぎを追求した和の空間や、地域や季節にこだわったおもてなし、きめ細やかなサービスなどで知られています。「星野リゾート 界 熱海」は高台に位置する歴史ある和の本館と海辺に佇む登録有形文化財の洋風の別館からなります。本館は国道135号から石畳のアプローチを抜けた先にあり、一歩足を踏み入れると、国道沿いとは思えぬ静寂の空間が広がっています。ロビーラウンジでチェックインを済ませ、早速客室へ。16室ある客室は純和風の数寄屋造りで、すべてが次の間付きでゆったり。今回宿泊した部屋は大きく採られた窓から相模湾が広がります。床の間に活けられた季節の花と上品な掛け軸、さりげなく配される調度品などが日本旅館の伝統美を継承し、上質だけれどもほっと肩の力が抜ける、そんな気分にさせてくれます。
温泉は伊豆山温泉で、源泉の走り湯は西暦720年頃に発見されたという古湯。泉質はカルシウム・ナトリウム‐塩化物泉で、よく温まる無色透明のさらりとした温泉。さらに弱アルカリ性で、天然の保湿成分であるメタケイ酸も豊富なので、美肌効果もあります。湯殿は総檜丸太造りの内湯「走り湯」と建築家・隈研吾さん設計のモダンな露天風呂「古々比の瀧(こごいのゆ)」の2か所あり、いずれも客室から「登竜坂」という長い階段で結ばれています。行きは下りですが、帰りは長い階段を上ります。ですので、その前に海を見晴らす「青海テラス」でのんびり湯疲れを取ってからどうぞ。静かに海を眺めるもよし、宿泊客同士で仲良くおしゃべりもいいものです(時期によりスパークリングワインや甘味なども提供)。6月から8月はこのテラスに伝統工芸品のみしま風鈴が200個飾られ、涼やかな音色も楽しめます。
「界」で唯一の部屋食でまったり
「界」は現在全国に14か所ありますが、ほかの施設とは異なる特徴がここにはあります。それは朝夕食ともに客室でいただくということ。人目を気にせずに部屋で足を投げ出して食事がいただけるのは、とくにひとり旅では嬉しい限り。タイミングよく運ばれてくる夕食は、金目鯛や伊勢海老など伊豆の海の幸を使い、彩りも豊かで食欲をそそります。特産の梅が随所に用いられ、お造りに梅甘酒の取り合わせはgood! それにしても階段の多い施設でお部屋出しとは…スタッフの皆さんがスリムなのがよくわかります。
そして翌日の朝食は釜で炊いた鯛めしがなんともゴージャスで美味。胡麻や葱など薬味とともにいただき、最後はほうじ茶をかけてお茶漬けに。久しぶりに朝からご飯3杯食べてしまいました(なので、せっせと温泉へ)。
熱海芸妓さんの姿にうっとり
「界」ではその土地の文化に触れる「ご当地楽」が用意されていますが、こちらでは夕食後、21時から本館ロビーラウンジで梅酒の飲み比べ、そして21時30分から熱海芸妓の舞と投扇興が楽しめます。ひとくちに梅酒といっても日本酒で造ったものや、ウイスキーの樽で熟成したものなど旨みも様々。夕方、湯殿でご一緒だったご婦人から、「これは飲んだ?こっちが美味しいわよ」とアドバイスをいただき、すべてをテイスティングして和気あいあい。ひとり旅でもこんな触れ合いは素敵だなと。昔から変わらぬ温泉旅館の良さを感じました。
熱海では明治時代から要人や文化人をもてなしてきた熱海芸妓の文化が残ります。現在も50を超える置屋があり、120人ほどの芸妓さんが活躍されているとのこと。粋であでやかなその踊りを堪能し、お座敷遊びのひとつ、投扇興を体験。投扇興とは桐箱の台(枕)に立てられた蝶と呼ばれる的に向かって扇を投げ、その形を競うものです。点式には葵や夕顔、桐壷など源氏物語に因む名が付けられ、なんとも風流なのですが意外と難しい。客室にもセットがありますので、ぜひ、自主練習をしてみてください。
日本を代表する温泉リゾートのひとつ熱海は昭和レトロブームも手伝い、駅前は観光客が絶えません。でも本当の熱海の良さは奥ゆかしい温泉文化が宿るところ。たかが熱海、されど熱海、わずか1時間で、日常をリセットできる旅が待っています。
料金:1泊2食付き2名1室利用時の1名料金34000円~、1泊2食付き1室1名利用48000円~
住所 静岡県熱海市伊豆山750-6 ℡0570-073-011(界予約センター)チェックイン15時、チェックアウト12時
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