「サル」が「秀吉」に変わった瞬間! 戦場に置かれても仇を討たないという選択、「嘘をつかない」生き方が導いたものとは【NHK大河『豊臣兄弟!』4話】
憎き相手を殺さない選択
史実においても、桶狭間合戦は織田信長にとって大きな転機となる戦でした。信長は少ない兵で今川義元の約2万~2万5000人の大軍を破り、尾張国・東部地域を奪還し、尾張国北部の平定と敵対する美濃一色(みのいっしき)家の対処を進めていきます。また、豊臣秀吉にとってもこの合戦は織田家臣として出世を果たした重要なものとなりました。
本作において、信長が戦場で狙うのは今川義元(大鶴義丹)の首ですが、小一郎と藤吉郎(池松壮亮)の最大のねらいは、城戸小左衛門(加治将樹)を討ち、父の仇を討つことでした。
織田軍と今川軍の激しい合戦シーンは圧巻でしたが、その中でも小左衛門の活躍が際立っていました。信長が一目置く槍の使い手だけあって、敵兵を次々と薙(な)ぎ倒す姿は立派です。
藤吉郎は自分の近くに弓が落ちていることに気づきます。小左衛門が自分に背を向け、弓が目の前にある……父の仇を討つのにこれほどまでに絶好の機会はそうそうありません。
しかし、藤吉郎のこの試みは小一郎によって妨げられました。

小一郎(仲野太賀) 藤吉郎(池松壮亮) 大河ドラマ『豊臣兄弟』4話(1月25日放送)より(C)NHK
「悔しいが あいつは 味方にとっては なくてはならぬ男じゃ。少なくとも 今のわしらよりもあいつを殺したら わしらも生きて帰れぬかもしれぬ」
小一郎は自身の臆病さ、死への恐怖、他者を殺す怖さを素直に認め、織田軍の勝利と自分たちの生存のためにも、小左衛門を殺すべきではないと、藤吉郎を説得したのです。
一方、小左衛門は小一郎と藤吉郎が目障りであるとし、二人の父にしたように合戦の混乱に乗じて命を奪おうと試みました。しかし、その行為が仇となり、敵兵の弓矢が小左衛門を貫きました。
小左衛門の最期は小一郎と藤吉郎が自らの手で仇を討たずとも、天が討ってくれたと解釈すべきなのか……。織田軍が桶狭間合戦で偶然の重なりで勝利したように、小一郎と藤吉郎の願いも“偶然”にも叶ったのです。
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