戦場で亡くなった人の遺体はどうなった? 畑を壊された農民がその「代償」としたものとは…。戦国時代の現実【NHK大河『豊臣兄弟!』11話】

2026.03.24 LIFE

*TOP画像/小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』11話(3月22日放送)より(C)NHK

 

『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は戦国時代における「お墓と戦場での死体の扱い」について見ていきましょう。

▶▶本編解説はこちら:潔く死ぬのは侍だけ! 「百姓にとって将軍は誰でも同じ」小一郎の言葉が突きつけた現実【NHK大河『豊臣兄弟!』11話】

 

戦国時代から庶民にも墓石が普及

『豊臣兄弟!』の9話では、直の墓石の前で小一郎(仲野太賀)が直接語りかけ、最愛の妻の死を深く悼むシーンがありました。弱気になる小一郎のもとに、直の父・坂井喜左衛門(大倉孝二)が現れました。直が小一郎に託した“無駄な死のない世の中にしてほしい”という願いを、喜左衛門は小一郎に……。このシーンは、小一郎が悲しみのどん底から生きる気力を取り戻した、心を強く揺さぶる名場面でした。

 

戦国時代になると、庶民の墓石が急速に普及しました。一つの石でのみつくられた墓石が多かったものの、直の墓石のように本体とは別の石でつくった傘が付いた形状の墓石もありました。なお、サイズはほとんどが90㎝に満たなかったと伝わっています。

直の墓石 大河ドラマ『豊臣兄弟!』9話(3月8日放送)より(C)NHK

戦国時代の墓石には、五輪塔を簡略化した一石五輪塔以外のものについても、線刻や浮彫によって仏像や五輪塔が表現された例が多く見られます。これらの図像は仏像や石塔に代わって、死者の供養を願う役割を果たしていたと考えられています。

 

当時の墓石には、戒名や生没年、碑文などを墨書で記したものも存在しますが、多くの墓石には何も記されていません。500年以上前に墨で記された文字は風化や剥落によって消えた場合もあれば、もともと何も書かれていなかった場合もあったと推測されます。

 

また、庶民の場合、共同墓地に埋葬されることもあったほか、特定の水辺に沈めたり、特定の場所に野ざらしにしたりして、お寺に供養用の仏像を奉納することも多々ありました。

 

本作における直の墓石は、直個人の墓石か、共同の墓石かは分かりかねますが、当時の基準から見てもかなり立派なものだと考えられます。想像の域を出ませんが、織田信長(小栗旬)から莫大な褒美をもらっている小一郎が婚約者である直のために、墓石を特別に用意したと考えられます。あるいは、中村一の権力者である喜左衛門が、愛娘の墓石の費用をいくらか工面した可能性もあります。

 

戦国時代に葬儀は執り行われていたのか?

戦国時代にも仏式の葬儀が執り行われていましたが、身分や家格、宗派によって規模や方法に違いがありました。戦国武将のような上層部であれば、遺体は棺に納められた上で、多くの僧侶による供養が営まれることが一般的でした。また、戦死して遺体が行方不明となった場合、代用品を棺に納めることもありました。

 

一方、身分が低い家臣や庶民の葬儀は簡略化された、規模の小さなものがほとんどでした。当時における遺体の処理方法については、土葬されるケースもあれば、火葬して遺骨を骨壺に収めるケースもあり、どちらも存在していました。

 

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