「嘘から出た真じゃ」兄を溺愛しながらも長政に嫁いだ「お市の方」、策略結婚から読み解く“戦国の愛と宿命”【NHK大河『豊臣兄弟!』10話】
市にとって“婚礼=出陣”だったが、「嘘から出た真」に
市は兄・信長を深く愛し、時には大胆に助言をすることもあります。信長もまた市を大切に思っており、妹の助言を素直に受け入れることも少なくありません。
市は浅井家への嫁入りを信長に頼まれると、「分かりました 浅井家へ嫁ぎまする」と即答。信長は「すまぬの」と呟いていました。このそっけない一言は他人に謝罪などしない男の口から出ただけに、ひときわ重く視聴者の胸に響いたと思います。
浅井長政(中島歩)の人柄を市に尋ねられると、信長は「知らぬ」と短く答えていました。彼について知れば、妹の嫁入りについて迷うからこそ、あえて目を向けないでいたのです。織田家の安泰のため、市を政略の駒とする信長なりの優しさです。
市は「市はうれしいのです」「やっと兄上のお役に立つことができまする」と喜びを口にしていました。戦に出る兄を見送る日々の中、織田家のために、大好きな兄のために何かしたいという思いが静かに高まっていたのでしょう。
そんな市ですが、不安がまったくないわけではなかったようです。市は「私は織田家のために嫁ぐのじゃ 何をどう取り繕うても見透かされてしまう気がしてな」と、小一郎に本心を明かしていました。

小一郎(仲野太賀) 市(宮崎あおい) 大河ドラマ『豊臣兄弟』10話(3月15日放送)より(C)NHK
小一郎が長政を「気性が優しい」「物静かで穏やか」と想像で語ると、市は「兄上とは似ても似つかぬ…」「私の好みではないな」と返していました。信長に対する溺愛ぶりがうかがえます。
小一郎の戯言は真(まこと)であり、長政は優しく穏やかで、市を常に気遣ってくれる男でした。市もその思いを受け止め、「『嘘から出た真じゃ』と小一郎に」と帰り際の勝家に伝言を頼みます。

長政(中島歩) 市(宮崎あおい) 大河ドラマ『豊臣兄弟』10話(3月15日放送)より(C)NHK
勝家が市の言葉を勘違いして受け止め、怒りを露わにすると、市は「相変わらず無骨なやつじゃな 長政殿より 私に合うてるやもしれぬ」となだめていました。信長と似た気質をもつ勝家に好意を抱く市は、兄の後ろを追い続け、兄の面影を常に求めているようにも見えました。
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