退職金で住宅ローン完済は危険?「家はあるけど現金がない」老後破綻のリアル。現役世代のうちにやっておいたほうがいいこと

2026.03.28 LIFE

退職金を見込んでの家のローン。完済できるか不安です……。

英雄さん(仮名・43歳)は、親の自宅でこの問題にぶち当たりました。どうも親のお金の使い方がおかしい……そう感じたのは、父親が70歳を過ぎた頃からでした。いつまで旅行に行けるか分からないと、1泊2日の温泉旅行に毎月のように行き出したのです。

「父さんたちのお金だから何に使ってもいいけれど、お金大丈夫なの?」

英雄さんのお父さんは真面目に働いてきましたが、有名な大きな会社を勤めあげたわけではありません。退職金だって支給されたのかどうかも、怪しいものです。昔から母親は事あるごとに「お金がない」と愚痴っていたくらいです。だから急に羽振りが良くなったような気がして、心配になりました。でも親子でお金の話は、なかなかしにくいもの。

「放っておいてくれ! お前には迷惑かけん!」

そう怒鳴られてしまうと、もうそれ以上何も言えなくなってしまいました。本当におかしいと気が付いたのは、それから半年くらい経ったGWのことです。毎年この時期に届く固定資産税の納付書に、母親は「何でもかんでも税金ばっかりで」そう必ずぼやいていました。ところがその年は、何も言いません。

「母さん、今年は固定資産税のこと、ようやく受け入れたんだ」

笑いながら言うと、母親は黙っています。

「あれっ、母さん、いつも固定資産税のことぼやいていたじゃない」

そこまで言っても、母親は下を向いたままです。おかしい……。いつもお金がない、税金が高い、そう文句ばかり言っていた母親が、固定資産税のことを聞かれても黙っているだなんて、おかしすぎます。

「母さん、父さんと母さんのお金だから、僕は何も言わないよ。でもちょっとおかしいでしょう? 何がどうなっているの?」

困った顔をした母親が、絞り出すような声で言いました。

「家は売ったから。お父さんに言うなって言われていて……」

英雄さんは、母親の言葉に愕然としました。家を売った? 頭にわぁ〜っと血が上るのが分かりました。言葉の意味が理解できず、困った顔をして英雄さんを止めようとする母親の手を振り切って、リビングにいる父親のもとに向かいます。

「母さんから聞いたぞ。家、売却したって、どういうことだよ?」

「お前には関係ない!」

「関係ないことないだろう? 家族なんだぞ。売却したって何でもいいけど、相談くらいしてくれたっていいじゃないか」

「……」

「僕たち家族だろう?」

英雄さんの言葉に、父親も観念したようです。

「テレビで宣伝してたんだよ。誰にも知られずに、家を売却しても住み続けられるって」

最近いたるところで目にする「リースバック」というものです。これは不動産を売却して、名義は買主に変更の登記をして、もともとの持ち主はそのまま買主と賃貸借契約を締結して、賃料を払って住み続けるというものです。

ただ一般的に、買った者は自分で使うことができないため、売買代金は通常より安め、家賃を払ってもらえなくなるリスクもあるので、賃料は高めに設定されます。

「……いったいいくらで売却したの」

 

▶俯く父が語った、家を売却した理由

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