もう、故郷に帰っていいですか?-42歳・栄子の場合(2)-【40女の恋愛事情・story5】

2016.10.18 LOVE

Woman using smart phone

「今、実家に来てるから、会えない」

 

彼のメッセージと同じくらいそっけなく答えると、すぐに返信が来た。

 

「いつ帰って来る?」

「わからない」

 

本当にわからないから、そう答えた。

これからどうするか答もまだ、出ていない。

 

「もしかしたら、田舎に帰るかもしれない」

 

彼は、私が遠くに行ったら、どうするだろう。

会いに来てくれるだろうか。

きっと来ないだろう、母親と同居していて、2人きりで過ごせないのだから。

わかっているからこそ、言ってみた。

これで終わりだねって言われたら、いさぎよく部屋を引き払えると思ったから。

 

それなのに彼の返事は、

 

「そうなんだ」

 

それだけだった。

その言葉では、彼が何を考えているのか、全然わからない。

適当に聞き流しているのかもしれない。

だから、もっと聞いてみた。

 

「こっちで暮らすようになったら、会いに来てくれる?」

 

返事は、何分も戻ってはこなかった。

来るわけがない。

近くで会える別の女性を探すに違いない。

わかっているのに聞いてしまう。

そして彼の返信は予想とは違っていた。

 

「ここと何時間くらい離れてるの?」

 

距離を尋ねられてびっくりしたけれど、特急で3時間くらいと答えた。

来てくれる気があるのだろうか。

頭の中をいろいろなことが駆け巡る。

もし来てくれたら、どこに案内しよう。

あのお店の郷土料理も食べてもらいたいし、地酒だったらあの居酒屋だし……。

 

そして彼は30分以上経ってから、こう書いてきた。

 

「そっちに帰っても、時々、こっちに出て来ればいいじゃん」

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