もう、故郷に帰っていいですか?-42歳・栄子の場合(2)-【40女の恋愛事情・story5】
そういうことか、私に移動させようとしているんだ。
苦く笑った。
自分は動こうとはしないんだね、と、彼を責めたかった。
来るわけない。
不倫関係にある女の実家になんか。
世間では許されない関係なんだということを、突き付けられるだけだ。
彼とはいつか終わる関係。
だったら、 さっさと今、終わりにしてしまえばいい。
こっちで仕事を探して、
そしてこっちで新しい恋も探せばいい。
たまたま盛り上がった奥さんがいる人のことなんて、忘れて生きていけばいい。
病気になって、初めて気づいた。
彼は家族ではないから、私が倒れても支えてはくれない。
私は実は、ひとりぼっちなんだということに、気づかされてしまった。
もう、いい。
さよならすればいい。
「特に用事もないし、そっちに行けるか、わからない」
彼にそう送った。
もう終わりなんだ、そう思いながら。
■もう、故郷に帰っていいですか?-42歳・栄子の場合(3)に続く-【40女の恋愛事情・story5】/毎週火曜18時更新■
この記事は
作家&エッセイスト
内藤みか
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