もう、故郷に帰っていいですか?-42歳・栄子の場合(2)-【40女の恋愛事情・story5】

2016.10.18 LOVE

Men's hands hold the tablet with coffee

そういうことか、私に移動させようとしているんだ。

苦く笑った。

自分は動こうとはしないんだね、と、彼を責めたかった。

 

来るわけない。

不倫関係にある女の実家になんか。

世間では許されない関係なんだということを、突き付けられるだけだ。

 

彼とはいつか終わる関係。

だったら、 さっさと今、終わりにしてしまえばいい。

 

こっちで仕事を探して、

そしてこっちで新しい恋も探せばいい。

たまたま盛り上がった奥さんがいる人のことなんて、忘れて生きていけばいい。

 

病気になって、初めて気づいた。

彼は家族ではないから、私が倒れても支えてはくれない。

私は実は、ひとりぼっちなんだということに、気づかされてしまった。

 

もう、いい。

さよならすればいい。

 

「特に用事もないし、そっちに行けるか、わからない」

 

彼にそう送った。

もう終わりなんだ、そう思いながら。

 

■もう、故郷に帰っていいですか?-42歳・栄子の場合(3)に続く-【40女の恋愛事情・story5】/毎週火曜18時更新■

栄子の場合(1)はこちら

このシリーズの過去作品はこちら

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