国生さゆり「ちょうどイイだめんず」を引き続ける唯一無二の才能
人生100年とも言われる時代、アラフォーは折り返し地点を迎えたと言えるでしょう。前半戦を振り返って、人によってはああすればよかった、こうすればよかったと思うことがあるかもしれません。
それは華やかに見える芸能人とて、同じこと。「梅沢富美男のズバッと聞きます」(フジテレビ系)に出演した、女優・国生さゆり。おニャン子クラブの主要メンバーとして活躍した彼女は、自分の芸能人人生を振り返って、「もっと主役がやりたかった、もっとCMにも出たかった、もっと歌も歌いたかった」と国生は自嘲気味に語っていました。
国生のオトコ遍歴が、スゴい。
なぜそういう人になれなかったのかをスタッフに聞かれると「恋愛のせい」と答えていました。自分の足を引っ張る恋愛ばかりしてきた、と言いたいのでしょう。オトコにはもう懲りたようで、断捨離にはまり、洋服は大量に処分、アクセサリーもつけることはなく、ノーメイク。37㎡の部屋に住み、酵素玄米を食べるなど、自然に回帰した生活を送っているようです。
いやいや、アンタ、何言ってんの! オトコを作ること、それが主役への道だよ!と私は思うのです。
今から三年前、2015年、国生がメッセンジャー・黒田有との熱愛が報じられた時、私は笑ってしまったのでした。なぜかというと、このカレも警察のお世話になった経験がある人だから。
国生の男性遍歴を振り返ってみましょう。
① 長渕剛(不倫関係にあった最中に大麻取締法違反)
② 初婚相手の一般人
③ 再婚相手の実業家(保険金をめぐる詐欺、「週刊新潮」(新潮社)に、この男性は独身時代にも刑事事件を起こしていると書かれたことがありました)
④ 黒田有(傷害事件を起こすも示談が成立し、起訴猶予。国生とは破局)
「オトコを大成させるのが、オンナの役目」という昭和的な価値感で言うと、国生はさげマンと呼ばれてしまうかもしれない。しかし、今はそういう時代ではないのです。
時代は、だめんず好きを求めている
それでは、時代はどんな人を求めているかというと、「抜けがある人」ではないでしょうか。それを如実に感じるのが、「好きな女子アナランキング」なのです。週刊誌は定期的にこのような人気調査を行いますが、だいたい日本テレビの水卜麻美アナと、元NHKの有働由美子アナウンサーがトップを争っています。
我々が20代の頃、女子アナと言えば、いい家庭に育ったお嬢様で高学歴で、語学が堪能で、ミスコンにも出てという超高嶺の花でした。しかし、今はちょっと太めとか、ちょっとトシが行っていて自虐的といった具合に「抜け」があるほうが、視聴者にはウケるのです。カトパンこと加藤綾子アナウンサーのように端正な美貌、大きなバスト、クセのない性格の持ち主は、かえって嫌われる要素になってしまうのです。
「抜け」があることは悪いことではないと思わされるもう一つの理由は、モデルの高垣麗子です。初婚時の夫は、ソルトレークシティーオリンピックのメダリストの清水宏保。しかし、清水が銀座のクラブの女性をお持ち帰りしたことを写真週刊誌に撮られたことで、11年に離婚します。再婚して子どもをもうけた高垣ですが、夫が金の密輸で逮捕。18年8月に離婚しました。
夫の不祥事を世間が忘れてくれるまで、仕事もせずに静かにしている。これが昭和的なほとぼりの覚まし方でしょう。しかし、高垣は9月に創刊された「美的GRAND」(小学館)の表紙モデルを務めます。ちょっと前なら、夫が不祥事を起こしたら、妻は問答無用で即降板だったでしょう(余談ですが、夫と子どもがいることに重きをおく「VERY」(光文社)なら、厳しかったかもしれません)。
しかし、今は本人が不祥事を起こしたわけでなく、女性誌のカラーを乱さなければ、必ずしもクビになるわけではないのです。
国生のように、つきあったオトコの3/4が警察のお世話になってしまうのは、昭和的価値感で言えば「さげマン」でしょう。しかし、もうここまでの命中率であれば、これはもう立派な才能です。あんなにキレいなのに、カスをつかんでしまうというのは、「抜け」があるという意味で、今の時代にあっているではないですか。
実は昭和のころから「逮捕される夫を捨てないオンナ」は、美しく扱われがちです。たとえば昭和の名優・勝新太郎は大麻取締法違反などで逮捕されています。妻の中村玉緒は周囲からさんざん離婚を勧められましたが、がんとして離婚しなかったそうです。
勝新太郎は事業を起こしては失敗することを繰り返し、玉緒は債券者の気持ちを逆撫でしないために、家にこもっていたところ、「さんまのまんま」(関西テレビ)からのオファーがあったそうです。ここでさんまと共演したことで、バラエティー番組の出演が増え、本業である映画やドラマのオファーも増えて、ついには夫の作った借金を完済したそうです。
人は自分より弱い人にやさしいものです。ダメなオトコを捨てないオンナというのは、つい「がんばれ!」と声援を送りたくなるものなのではないでしょうか。
ちょうどいい、だめんずとは、何か?
もちろん、性犯罪や殺人など、命や女性の尊厳を奪う犯罪では、世間は許してくれないでしょう。しかし、偶然にも国生の相手が起こす犯罪は、薬物という「被害者のいない犯罪」だったり、金銭で賠償できる案件で、やりなおしがきかないほどのディープさはない。これもポイントです。ちょうどいい不祥事を起こすダメ男を見つけることができる。これが才能でなくて、何でしょう。
国生は微妙にプライドが高く、ダメな男とくっついてしまうところを認めないふしがあります。「またダメな人を好きになってしまいました」と言うのと、「私はもうオトコはいらない」というの、どちらがかわいげがあるでしょうか? 断然、前者ですね。
人気商売は時代に即していなければなりません。大分年下のオトコとくっつき、不祥事をおこした際は「こんなふうになってしまうのは、私の責任なのかもしれません」と言えば、世間は「そんなことないから」と言ってくれるはず。
我々が二十代の頃と比べて、今は「正解が一つでない時代」です。ということは、いくらでもやりようがあるし、再チャレンジも効きます。国生の新恋人の出現に期待したいと思います。
仁科友里が斬る#オンナの生きざま