もう、故郷に帰っていいですか?-42歳・栄子の場合(3)-【40女の恋愛事情・story5】

2016.10.25 LOVE

Landscape with Field

 

故郷にも、まだ結婚していない同い年の男性は何人もいると母が言っていた。

バツイチの男性も含めればさらに数は増えるという。

どこでそういう人と知り合えるかわからないけれど、同世代のための婚活イベントだって、きっとあるだろう。

 

田舎で婚活して、少し遅めの結婚式をして、幼馴染みたちに祝福してもらって……。

想像してみたら、なんだかうまく行きそうな気がしてきた。

少なくとも東京にいて、奥さんがいるあの人の事ばかり考えているよりも、

ずっと前向きだ。

 

そんな風に楽しく思いを巡らせていたところで、

スマーフォンが震えた。

あの人からだった。

 

「いつごろこっちに来れそう?」

 

また、そんな風に聞いてくる。

なんでそんなにせっかちなんだろう。

 

「ちょっとよくわからない。いろいろ疲れたから、こっちでしばらく休もうかなって思ってる」

 

私は、あの人を、切ろうとしている。

自分でも驚くほどに、今、彼に冷たい。

今なら、このまま彼のことを忘れられそうな気がしていた。

 

それなのに……。

 

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