「好き」ってなに?40代独女が陥る「恋愛感情がわからない」悩み
いつだって、恋愛は「簡単」だと思っていた。
今ひとりなのは、いい人と巡りあえていないだけ。
そう思っていたのに、いざ気になる人ができるとなかなか積極的になれない。
……あれ? 「好き」ってこんな気持ちだったっけ?
自分の感情をつかめずに振り回されてしまう40代独女のリアルについて、お話します。
ベッドの中でも、確信が持てない愛情
「20代のときに一度結婚はしたのですが、お互いに仕事が楽しくて家庭をかえりみない日々でした。
早く子どもを産めというプレッシャーがしんどくて、別居した後で離婚。
それからは、心置きなく好きな仕事や趣味を楽しめると思って前向きに生きてきたつもりです。
離婚後はなかなか好きになれる男性が現れず、でも特に焦りはなくて『そのうち彼氏もできるでしょ』なんて思っていました。
気がつけば40代になっていて、仕事では責任のあるポジションになって、ふと周りを見るとみんな結婚していたりパートナーがいたり、やっと寂しさを感じるようになりました。
が、今さら婚活パーティーも気が進まないしマッチングアプリもいまいち。
やっぱり40代ってよっぽど可愛いとか稼ぎが良くないと、男の人の目にもとまりませんよね。
そんなときに友人の紹介で知り合ったのがSさん。
みんなで食事をする機会があって、初対面なのに話が盛り上がって久しぶりにテンションの上がる時間でした。
Sさんも私に興味を持ってくれて、トントン拍子にお付き合いまで進めたんだけど……。
なんたってまともに恋をするのは10年ぶりくらい、毎日もらうLINEや電話は新鮮だけど、『こんなときはどうするんだっけ?』とSさんへの対応について考えることが多くなりました。
『おはよう』『お疲れさま』の後になんて書けば良いのかわからない。
デートであちこち行くのは楽しいけど、別れ際にどう振る舞えば良いのかわからない。
好きならキスもハグもあって当然のはずなのに、なぜかそんな気持ちになれなくて普通に『おやすみなさい』と背中を向けてしまう。
そんな私に、最初のうちは『照れているのかな』と思っていたSさんも、素っ気ないデートが続いて不安になったらしく、ある日『話がしたい』と言われて胸の内を打ち明けられました。
『俺は君のことが好きだし、大事にしたい。だから焦らずに進めたいけど、もし俺のことが好きじゃないなら振ってほしい』
って言われたとき、彼に一度も『好き』と言ったことがない自分に気が付きました。
少し時間をくださいと言ったものの、考えても自分の気持ちが見えません。
思い切って友人に相談してみたら『寝てみれば?』と言われ、一度はまだ早いと思ったものの、想像してみたらまったく抵抗がないことに気づいて。
Sさんに『会ってほしい』と連絡した夜、彼に抱かれました。
彼は私のことが好きなんだから、きっと気持ち良くなれるだろう。
私の心の壁を壊してくれるだろう。
そう思っていたのに、実際に裸で抱き合ってみると何も湧き上がってこない。
体が反応することにはほっとしたけど、冷静に彼の動きを追う自分にひどくがっかりしました。
Sさんはとても優しくて、最中にずっと『好きだ』と言ってくれて、『私も』と答えられるのにどうしても気持ちが追いつかない。
それからまた一緒に過ごすようになったけど、いつまた彼を不安にさせるかわからない、そもそも彼のことを愛している実感がないのにこれでいいのかと、悩んでいます」(39歳/看護師)
★ 「寝たのが間違いだったのかも」と、彼女は頭を抱えて言いました。
「どうして?」と尋ねると、
「好きでもないのに寝てしまったら、彼に期待させるだけ」
と答えます。
「好きでもないのに」。
ですが、それが本当の答えなら、どうして彼女は彼と別れないのでしょうか。
心の中には「愛さなければ」ではなく「愛したい」が眠っている
彼女の中にあるのは、「彼を愛さなければ」というプレッシャーです。
彼とのお付き合いを望んだのは自分であって、そのときは好き「なのだろう」と思っていた。
でも、交際という枠の中に身を置いてみると、LINEやら電話やらデートやら、「するべきこと」に心がついていかない。
思い切って体を委ねてみたけど、やっぱり確固たる愛情を自分の中に感じることができない。
それでも側にいてくれる彼には申し訳ないと思うし、だからいっそう、「愛さなければ」と思ってしまいます。
ですが、後ろめたい気持ちから愛情は生まれません。
彼女が優先しているのは自分ではなく彼の愛情。それに応えるのは間違いではないかもしれないけど、決して前向きとはいえませんよね。
自分の「好き」がわからないのは、理屈で考えるからです。
「どんな対応をすればいいんだっけ」なんて、いちいち立ち止まるからついていけない自分を実感してしまう。
そうではなくて、LINEや電話が来たならそのときの自分の感情をまず受け止めてみること。
「嬉しい」でも「良かった」でも、何か湧き上がるものがあれば、それを素直に伝えること。
何も感じないなら、無理に返信することはありません。
答えることが誠意と思っても、嘘やごまかしの言葉を送ったって、心の距離が開くだけ。
いったん返信は置いて、そのときの自分の気持ちを見つめてください。
そうして、少しずつ自分の感情と向き合ってみる。
「好き」なんて単純な思いは、頭でなく心から自然とにじみ出るものです。
彼女が彼と別れるという選択肢を選ばないのは、少なくとも一緒に過ごすことを受け入れているから。
本当に彼のことが好きでないなら、側にいることは苦痛になるでしょう。
愛されていると実感するなら余計に、気持ちの温度差は無視できなくなります。
「愛さなければ」のプレッシャーの底には、
「本当は愛したい」
の芽が眠っています。
それは相手に任せても陽の目をみるものではありません。
自分で大事に育ててこそ、しっかりと根を張るのが愛情。
「愛さなければ」の前に、自分の感情を受け止めること。
関係がスムーズにいかないことを悩むなら、今の自分の状態を彼に打ち明けるのもひとつの方法です。
「一緒にいたい気持ちは本当なのだけど、ゆっくりしか進めない」
と言われて交際をやめるような男性ではないと思います。
本当に誠意のある対応をしたいと思うなら、まず無理をやめることです。
「好きかどうかわからない」なんて悩みは、せつないし苦しいですよね。
自分の感情をつかめないのは、相手の気持ちを優先しているから。
愛したい気持ちは自分の中からしか生まれません。
相手ではなく自分の感情と向き合うことを忘れずに、ゆっくりでいいから、関係を育てていければなと思います。
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