時代錯誤! 女だけ「無給で1時間早く出社」で雑務する会社の残念な結末

2018.10.29 WORK

近年では(…といっても随分経ちますが)男女雇用機会均等法の浸透や、女性の働き方についての喚起が叫ばれてきた影響もあるのか、過去のように女性がお茶くみをしたり、事務作業を当然のように行ったりという文化はほとんどなくなったかと思っておりました。

しかし、先日女性の友達から聞いた職場の愚痴は

「まだこのような前時代的な体制の会社があるのか!」

と驚くような内容でした。

 

彼女の職場は9割以上が男性の職場で、女性社員はほとんどいないそう。

そのうえ、「事務作業は女性がするもの」という昔ながらの考えが強く根付いており、雑用や事務作業は女性がやるものと決まっているそうです。

ゆえに、 毎朝の郵便受けの確認や、簡単な掃除などもほぼ義務化されていて、彼女は定時より1時間以上も早く出社しています

さらに、昼休みに事務所の電気を消したり、給湯室でお湯を沸かしたりといったこともやっているそうなのですが、以前昼休みに、消灯と湯沸かしを忘れたところ

これはあなたの仕事でしょう?

と怒られたことがあったそう。

当然、その時間の給料は出ていません。

 

これはさすがに違法ではないかと思い、今回はこんな内容について取り上げてみました。

 

 

問題点① サービス労働に当たるのではないか?

そもそも、サービス労働を強制するのは、違法である可能性が高いです。

 

労働時間として認められるものは、

 

・実作業の時間

・着替えの時間

・出張などの移動時間

・手待ちの時間

…など。

 

お茶くみや、昼休みに事務所の電気を消すといった作業は、実作業時間や手待ち時間に含まれると考えられそうです。

 

労働時間の定義

先述したように、サービス労働として行われることの多いお茶くみなどの作業も、労働時間として含められる可能性が高いです。

 

労働時間の定義とは、簡単にいうと、『労働者が会社に対し労務を提供し、労働者がその命令に対して服している時間』を指します。

つまり、会社で発生する作業であれば、たとえ作業をせずにその場に立っていることでさえ、労働時間として含まれるのです!

 

したがって、上司や先輩へお茶くみをしたり、昼休み中に部屋の電気を消したりといった“サービス労働”として考えられがちな作業であっても、労働時間としてカウントできる可能性が高いと言えるんですね。

 

問題点② 『女性だから』という理由で特定の業務をさせることも問題では?

『女性だから』という理由で事務作業を行うことに対しては、厚生労働省のホームページにこのように記載されています。

 

問 男性社員は忙しいので、お茶くみや掃除等の雑用は女性社員に任せていますが、何か問題はあるでしょうか?

 

答 男性労働者は通常の業務のみに従事させ、女性労働者についてのみ通常の業務に加えてお茶くみ・掃除等を行わせることは均等法に違反します。

社内においてこのような取扱いが生じないよう徹底をお願いします。

引用元:厚生労働省

 

どうやら今回の状況は、雇用機会均等法に当たる可能性が高いのでは?

と思い、ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお伺いしてみたところ

 

森川弁護士:
女性だけが差別的に扱われているのであれば当然、機会均等法にも違反すると思います。

 

と、弁護士の先生からも違法に当たるのではないかという見解をいただきました。

今度友達に会ったら教えてあげようかしら…。

とはいえ彼女は、この件さえ除けば会社との関係は良好なため、特に訴えたりはしたくないと言っていましたが…。

 

まとめ:違法な会社の可能性が高い

今回のようにお茶くみや事務作業に対して給料が支払われていない場合、また女性だけが差別的に扱われている場合、それは違法である可能性が高いでしょう。

 

しかし、筆者の友達のように、会社との関係を壊したくないという方もいるのは事実…。

こういった会社の実態を目の当たりした場合、男性側から声を上げて会社の体制を変えていく…といった行動が必要なのかもしれませんね。

 

*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)

*執筆・取材:アシロ シェア法編集部(シェア法を盛り上げようと日々奮闘中。執筆いただける弁護士先生募集中です。)

 

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