「人としては大好きなんです」誘い続けて10数年、心が折れた夫が「妻以外」に求めたもの

2026.07.31 LOVE

2023年末、25年ぶりに実施された『性機能障害の全国実態調査に関する報告』が静かな波紋を広げました。夫婦間の性交頻度が1カ月に1回未満である「セックスレス」の定義に当てはまる夫婦は、実に全体の7割を超えていたのです。少子化、無子化と語られる日本社会の根底に、夫婦が触れ合わなくなった現実が横たわっている——そのことを、この数字は冷たく告げています

【無子社会を考える #35】

※個人が特定されないよう設定を変えてあります
※写真はイメージです

 

 

求める側に固定されるという「静かな消耗」

レスをめぐる悩みは、長く「拒まれる側」の物語として語られてきました。誘っても応じてもらえない、寝室から追い出される、男として見られていない——。けれどその構図をそっと裏返したところに、ほとんど語られてこなかったもう一つの消耗があります

「求める側」であり続けることのしんどさです

ヒロユキさん(仮名・47歳)は結婚して十数年、夫婦生活を切り出す役割をずっと一人で担ってきました。断られても空気が重くなっても、また日を置いて誘う。そのくり返しの果てに彼は家庭の外に答えを求め、そして遠回りをして、もう一度妻のもとへ帰ってきました。男性側の視点でレスを抱えた夫婦を取材するなかで出会った、その声に耳を傾けました

 

 

「誘うのは、いつも自分のほうだった」

ヒロユキさんと奥さまは職場の先輩後輩として知り合い、3年の交際を経て結婚しました。穏やかでよく気のつく女性。喧嘩らしい喧嘩をした記憶もほとんどない、と本人は振り返ります。傍から見れば波風のない円満な家庭そのものでした

異変というほどの異変はなかった。だからこそヒロユキさんは長いあいだ、自分たちの関係を「問題」として認識できずにいました

「いつからレスになったのかはっきりとは言えないんです。子どもが生まれて生活が回りはじめて、気づいたら間隔が空いていた。最初は『そういう時期だよな』って。誰だって子育てで忙しければそうなる。そう思って僕のほうから誘って、たまに応じてもらって……というのを続けていました」

問題は、その「僕のほうから」が一度も交代しなかったことでした

「ふり返ってみると、妻から誘われたことって本当に一度もないんですよ。最初からずっと誘うのは僕の役割だった。それが当たり前すぎて長いこと疑問にも思わなかったけれど、その当たり前があとからじわじわ効いてくるんです」

求める側に固定されること。応じる・応じないの決定権がつねに相手の側にあること。その非対称が、年月をかけてヒロユキさんの心を静かに削っていきました

 

▶妻の「また今度ね」に、傷つかなくなった日

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