高校生か!「好きと言われるまで好きにならない」40代バツイチ女の悲劇【40代のダメ恋図鑑#1】前編
40代。未婚でもバツイチでも、「独身」を楽しみたいと思いながら恋愛でつまずいてしまう女性たちは、どこで間違えてしまうのか。
アラフォーの女性たちが経験する「勘違いの恋、痛い姿」をお伝えします。
バツイチ、実家住まい。私は結婚に失敗した
Aさん(40歳)は、夫のモラルハラスメントが原因で離婚し、現在はふたりのお子さんと暮らしている。
いわゆる“お堅い仕事“に就いているせいか普段から礼儀正しい振る舞いが多く、バツイチであることを気にせず人と交わろうとする前向きさが見えた。
離婚してから子を連れて実家に戻ったAさんは、
「当時はもう開放感がいっぱいで。
子どもたちも元夫のひどい態度に苦しんでいたから、『離婚して本当によかったね』って言い合えたし、生活も順調だったの』
と、懐かしそうに振り返る。
Aさんが申し立てた調停で離婚が成立したのが10年前、まだ幼かった子どもたちは小学生になり、元気に過ごしているそうだ。
「実家の両親もね、『子どもがいると家がにぎやかになる』って喜んでくれて、私が残業続きで大変なときも子どもたちを見てくれるの。
親は私が家を出てもずっとラブラブで、今も下の名前で呼び合っているのよ。
本当に感謝しているし、私も生活費は毎月きちんと入れているし、暮らし自体はね、今も特に不満はないのだけど……」
その日、待ち合わせたカフェでランチのインドカレーを食べながら、手にしたナンを下げてAさんがぽつりと言った。
「実家に住んでいても、“おひとりさま“って感じるのよね。
親も子どももいるけど、私自身はパートナーがいない、ひとりなんだなって」
それは、「年老いてなお仲睦まじく過ごす両親」が身近にいるからこそ、浮かぶ感慨なのかもしれなかった。
「私に気があるのかがわからない」バツイチ男性の登場
「おひとりさま」の自分に焦りを感じるAさんは、年収が高く外見も「そこまで衰えてはいないでしょ?」と口にできる自信があるが、新しい出会いはなかなか訪れなかった。
「マッチングアプリを使ってみたけれど、既婚者はうじゃうじゃいるし独身でも年収400万円とかだし、私と同じ親と同居って人も多くて。
何か、介護要員を求めてない? って感じる男もいてね、ダメだったの」
そう言って肩をすくめるAさんは、きれいに染めたブラウンの髪をゆるく巻き、違和感なく彩られたアイシャドウは控えめなパールがきらりと輝き、頬は上気して健康的な血色がわかる。
確かに40歳には見えない若々しさは、仕事と家庭を両立してきたこと、子どもふたりを育てながら両親ともいい関係を築いてきた自分への自負がうかがえた。
マッチングアプリが合わなかったAさんは出会いのなさを嘆いていたが、この日はある男性と知り合ったと話してくれた。
取引先の担当者である彼は、42歳でAさんと同じくバツイチ、それまで親しくなる機会がなかったが、Aさんの会社のトラブルに手を貸してくれたことがきっかけで、個人的に話をするようになったそうだ。
「お互いに雰囲気で既婚者だろうなって思い込んでいたのよ。
それが、いざ話してみたらバツイチ同士ってわかって、あっちはお子さんはいないけど、いろいろと盛り上がっちゃって」
そつのない振る舞いで、女性と距離を取りながら丁寧に言葉を選ぶ姿に以前から好感を持っていたAさんは、それを機会にLINEのIDを交換し、男性とのやり取りを楽しんでいるという。
「おお、よかったね」
“恋の予感”かあ、と茶化しながら言ったが、Aさんは「それがね」とナプキンで口を押さえ、ラッシーを一口飲んでからこう続けた。
「私のことを好きかどうかが、わからないのよ」
「向こうが好きになってくれたら、私も好きになるんだけど」
「え?
そりゃ、まだ仲良くなって日が浅いのでしょ?
いきなり好きには……」
首をかしげながらそう言うと、
「時間って関係ある?
こう、意気投合したらぱっと付き合うとかそんな話にならない?」
Aさんは不思議そうに開いた目でまっすぐこちらを見返した。
「ああ、そういうパターンもあるだろうけど……」
「向こうが好きになってくれたらね、私も考えるのだけど」
グラスに触れる、桃色に塗られた爪に目線を落とし、表面をするりと撫でてからAさんはさらに続けた。
「こっちを好きにならない相手を好きになっても、時間の無駄よね?」
「……」
“先に相手の好意を知りたい”。
そう聞こえる言葉からは、彼女の持つ明るさと礼儀正しさに不似合いな、投げやりな苛立ちが見えた。
後編>>>「好かれてもらう努力」を本当にしたの…?男が逃げる女
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