
子なしの遺産は誰に?! 大損、大揉めする遺産相続の特徴<既婚・子なし編>|おこなしさまという生き方(8)
結婚、出産をしていないと、女として幸せではないという人がいるけど、はたして本当にそうなのでしょうか。
「少なくても今の時点では、子どもがいない“おこなしさま”人生も、そんなに悪いものではないと感じている」
という、くどうみやこさん。自分の幸せは、自分で決める「おこなしさまという生き方」リバイバル配信です。
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実際に、とても複雑な事例を体験しました
「二人で築いてきた財産なのに、めったに会わない甥や姪に渡さないといけないの?!」と驚く方もいます。ただし、必ずしも法定相続分に従って、遺産分割を行わなければならないものではありません。故人である被相続人が、生前に遺言書で相続割合を指定することができます。遺言書がない場合は、法定相続人の話し合いで決める「遺産分割協議」を行い、話がまとまらない場合は、民法で定められた「法定相続分」で遺産分割を行うことになります。
数年前、親戚の叔父が亡くなりました。昔の時代ではめずらしい“おこなしさま夫婦”だったので、先に示した5つの相続パターンのうち、「2.配偶者の親が死亡、兄弟がいる」に該当します。遺言書がなかったため、叔母は叔父の兄弟全員に相続について連絡を取りました。その数、なんと7人。昔は兄弟が多かったので、連絡をとるだけでも時間を要します。7人のうち、すでに亡くなっている兄弟姉妹がいる場合は、その子である甥や姪が代襲相続人として相続権を与えられるので、さらに複雑。
叔母は、叔父の財産は多くないのでそれぞれに「相続放棄」のお願いをしました。法定相続人が法定相続分を主張せず、相続放棄をすれば全財産を配偶者が相続できます。ですが、7人のうち1人でも「自分は相続放棄しない、もらえるものはもらう」と主張したら手続きは難航してしまいます。最終的にはどうにか全員からの承諾を得ることができたようですが、夫を亡くした後、相続問題に翻弄された叔母の心労は計り知れません。
このような事態を防ぐために重要になってくるのが「遺言書」。「遺産は全部妻(または夫)に相続させる」と書いた遺言書を残しておけば、全財産を配偶者に残すことが可能です。叔母も、叔父が生前にこのような遺言書を書いていれば、苦労はしなかったはず。しかし、意識しなければならないのが、法定相続人に最低限保障されている相続の「遺留分」。
分かりやすくいうと、法定相続人が「その相続、ちょっと待った!」と言って、相続分の一部を取り戻すことができる権利のこと。遺留分の割合は続柄によって決まっていて、いくら遺言書に全部妻に相続させると書いてあっても、自分にも相続する権利があると主張できるのです。ポイントは、遺留分を請求する権利が与えられている「遺留分権利者」。遺留分減殺請求権が認められているのは、配偶者、子、直系尊属(父母や祖父母)で、兄弟姉妹や甥・姪には遺留分の権利がありません。
遺言書さえあればとてもシンプル&スムーズ
“おこなしさま夫婦”は年齢的に考えると、親や祖父母はすでに亡くなっていて、兄弟姉妹(もしくは甥・姪)が相続人となるケースが大半です。その際、法定相続人は配偶者と兄弟姉妹になりますが、兄弟姉妹には遺留分を請求する権利が認められていないので、遺言書によって全財産を配偶者が相続することができます。遺言があれば、非常にスムーズな遺産相続になるのです。
逆にいうと、遺言書がなければ残された配偶者は、遺産紛争に巻き込まれる可能性があるということ。遺産をもらう気がなかった法定相続人でも、大金が手に入ると分かれば取り分を主張する可能性も考えられます。その際、金融資産はほとんどなく、遺産の大半が不動産になる場合は、とくに気をつけなければいけません。貯金がなければ、最終的に居住している自宅を売却し、相続分に充てざるをえないことも想定されます。
(令和2年4月より、被相続人が亡くなった後も一緒に暮らしていた配偶者は、その住居に住み続けることができる配偶者居住権が施行されました。)
泥沼化をさけるためにも、「遺言書による本人の意志」が効力を発揮します。相続財産配分決定の順番として、1番目は遺言による本人の意志になるからです。遺言書があれば、基本的には遺言書の内容に従って相続手続を進めます。法定相続分通りに相続させたいなら別ですが、“おこなしさま夫婦”は遺言書がないと、残された配偶者は遺産相続で深刻な問題を抱えることになります。
細かいことまで分からなくても、“おこなしさま夫婦”は配偶者が亡くなったら、自分が遺産を全部相続できるとは限らない。遺言書がないと、遺産相続で大変な思いをすることだけは、絶対に覚えておいてください。そして、お互いを守るためにも遺言書は必須アイテムになることを頭に入れておきましょう!
>>次の話(3/10 19:30更新)
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