
「ひとりはイヤ」誰とでも寝るほど孤独がつのる【不倫の精算・リバイバル1】(前編)
どうして彼女たちは妻ある男と関係を持つのか。
彼女たちは、幸福なのか。不幸なのか。
恋愛心理をただひたすら傾聴し続けたひろたかおりが迫る、「道ならぬ恋」の背景。
「ひとりでいるよりはマシでしょ」
–「ひとりでいるよりはずっとマシでしょ。どうせヒマだしさぁ」
A子(38歳)は、何本目かのタバコに火を付けながらすっと視線を逃して笑った。
郊外のカフェ。その日は雨が降っていたので店内で話すことを提案したが、喫煙したいという彼女の希望で外の席に座った。
A子は独身でひとり暮らし。仕事は看護師をしている。
不規則な勤務で夜勤もあり、休みが合わない友人たちはほとんどが結婚していって会う機会は本当にたまにしかない。今はその約束すら億劫だという。
テーブルに置かれたスマホの画面に何度も目を向けながら、A子は続けた。
「こうなったら、不倫でも何でもいいから自分に関心を持つオトコがいるのかどうかが気になって」
そのときLINEの通知音が鳴った。「彼」からだ。
A子は素早くスマホを取り上げると、たたっと画面を開いて返信していた。ネイルの塗られていない爪はそれでもとても綺麗に手入れをされていて、着けているリングも小ぶりなストーンのはまったデザインが華奢な指によく似合っていた。
夜勤明けの休みで少し疲れた顔をしているが、メイクの手は抜いていないし着ているものも質の良さを感じさせるカシミアのセーター。まだ30代半ばでも通るスタイルのA子がタバコを吸う姿は、一見するとどこかの女社長のようにも見える。
A子の彼は既婚者だ。同じ病院に勤めている技師で、関係が始まったのは3ヶ月前、仲の良い同僚が開いた飲み会に来ていたのが出会いだった。
A子にとっては4人目の彼になる。
婚活で誰にも相手にされない惨めさ
「この人ともいつ終わるかわからないけど」、と前置きして馴れ初めを話してくれたA子だったが、最初から不倫することを望んでいたわけではない。
去年までは、婚活をがんばっていた。結婚相談所に登録したり県や市が主催する婚活パーティに参加したりと、積極的に出会いの場に足を運んだ。
仕事が好きで収入にも不満がなく、特に結婚相手が欲しいと思ったことはなかったが、婚活を意識したきっかけは入院している患者さんだった。
それまでは仏頂面でろくに口もきいてくれないような人が、お見舞いにくる身内や孫を見て笑顔になる姿を見ていると、「家族」の存在の大きさを実感する。そして我が身を振り返ったときに「私にはこんな人はないんだ」と気がついたことが、焦りを生んだ。
年齢が上がるにつれ、老いた未来を考える時間が増えた。このままお見舞いにきてくれる家族もいないまま、ひとりぼっちで入院することになったらどうなるのだろうか。そんな漠然とした不安が膨らむ。
病院で働いていると、誰もこない入院患者ももちろん見る。その「差」を目の当たりにするだけ、自分はこうはなりたくない、と強く思うようになった。
次のページ▶▶だが、意気込んで始めた婚活は上手くいかなかった。彼女の婚活を阻んだものとは…
取材・文/ひろたかおり
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