「親ガチャどころじゃないよ…」超身分制社会の平安時代に必要なのは努力・実力より●●という「身も蓋もなさすぎて絶句」の事実【NHK大河『光る君へ』#5】

2024.02.04 LIFE

*TOP画像/大河ドラマ「光る君へ」5回(2月4日放送)より ザブングル加藤さん(C)NHK

紫式部を中心に平安の女たち、平安の男たちを描いた、大河ドラマ『光る君へ』の第5話が2月4日に放送されました。

前編『【NHK大河『光る君へ』#5】ソウルメイト・道長の兄に最愛の母を奪われたことを知ったまひろ。絡み合う複雑な思い。平安時代は「身分制」「縁故」の社会。下級貴族や庶民は理不尽だらけ』に続く後編です。

 

【史実解説①】平安時代は身分制の社会。社会的地位を高めるには「努力」「実力」よりも「コネ」「位」が重要!?

令和において自身の「家庭環境」や「実家の経済力」などといった選べない物事が「ガチャ」という言葉で表現されていますが、平安時代はまさにガチャ。当時は「出自」や「縁故」がものをいう時代でした。

 

貴族階級における女性の身分は父の位階によって決まります。当時は今でいう「逆玉の輿」の時代。男性は結婚相手とする女性の実家も重要視していました。貴族が出世するためには主君への献上が必要となりますので、その後ろ盾を妻(の実家)に求めたのです。

 

当時においていくら努力しても、秀でた才能をもっていても、生まれた家柄をはるかに超える地位を得ることや、身分違いの相手と婚姻関係を結ぶことはできません。例えば、美しく、知的な庶民の女性が上流貴族の男性の妻格になることや、頭脳明晰な庶民の男性が官職に就くようなことはありませんでした。

 

当時の庶民の暮らしは栄養面も衛生面も悪く、優美な貴族の暮らしとは異なります。また、貴族が庶民にあたたかな眼差しをそそぐようなこともありませんでした。しかし、庶民は貴族をうらやむことはあったとしても、「不公平」や「差別」への反感をおもてに出すことはなかったといわれています。皇族・貴族は前世の善行によってその地位に生まれたという考えが根付いていたためです。

 

さらに、現代の日本では悪事をはたらき捕まった場合、誰かのはたらきかけで見逃されることはありません。当時は、権力をもった主君に仕える人は「役得」として、もみ消してもらえるようなこともありました。

 

【史実解説②】紫式部は「歌人・作家」の一門、道長は「権力者」の家系

紫式部の父・為時は漢学者や歌人として優れていた他、皇太子の教師を務めたこともあります。また、母については彼女が幼い頃に亡くなっています。

 

紫式部の曾祖父・兼輔は中納言の官職を得て、上級貴族への転身を果たしたものの、彼の息子・雅正は国守の職にとどまりました。その息子・為時の貴族としてのキャリアもぱっとせず、辺鄙な地における受領の職を得るのが精一杯でした。

 

紫式部の親族には貴族としての華々しいキャリアを歩んだ人は少なかったものの、歌人・作家が多くいます。父方については、前述の兼輔は三十六歌仙の一人でもあり、『兼輔集』を残しています。叔父・為頼についても『為頼集』を書き綴っています。母方については、母の伯父・為雅の妻の姉妹には『蜻蛉日記』の作者・藤原道綱母、『更級日記』の作者の母がいます。兄弟には歌人・長能がいます。

 

一方、藤原道長は摂政や関白を輩出する家柄です。藤原家は当時における最大の権力者でした。道長は時姫と兼家の五男として生まれます。父・兼家は父と姉の力を後ろ盾に政界デビューを果たし、兄弟間での権力争いにも勝利をおさめます。そして、孫・懐仁が一条天皇に即位すると自身は摂政に就任し、位を高めていきます。

 

貴族として家柄が異なる紫式部と道長。しかし、紫式部と道長が結婚相手として位がまったく釣り合わないというわけではありません。兼家の妻である時姫と道綱母は紫式部の実家と同等の家柄・中下級貴族であるものの、兼家の妻として認められています。

 

第五回にはザブングル加藤さんがシークレット出演!「どのシーン?」

大河ドラマ『光る君へ』 第五回に、ザブングル加藤さんが出演していました。お気づきになりましたか?

録画やNHKプラス、再放送でどのシーンだったかもう一度確認する方にご説明すると……。

架空の人物・侍従宰相の役柄で、「たいそう富のある、お顔の四角いお方」 として源倫子のサロンで姫たちの話題となったのが加藤さん。残念ながら登場はこの回、このシーンのみです。

そんな加藤さんから届いた「出演コメント」をご紹介します。

――――

今回 大河ドラマに初めて出演させて頂き大変嬉しく思います。
ありがとうございます。
撮影日にメイクをして頂き、かつらを被せて頂き、豪華な衣装を着させて頂き、
誰と絡むわけでもなく、撮影は1分程で終了。
スタッフさん一同全員が半笑いだったと思います。
オンエアもおそらく数秒だったと思います。
瞬きをしていたら見逃す可能性があるので、
視聴者の皆さん!
是非!NHK プラスや再放送でもう 1 度、かじりついて見て頂けると幸いです。

――――

 

■今回記事参考資料

NHK「《大河ドラマ第63作》制作決定!主演・吉高由里子 作・大石 静」

・砂崎良 『平安 もの こと ひと事典』 朝日新聞出版 2024年

服藤早苗『「源氏物語」の時代を生きた女性たち』 NHK出版 2023年

・木村朗子『紫式部と男たち』 文春新書 2023年

 

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク