白昼堂々ホテルへ…。小さなコミュニティで不倫バレし、居場所をなくした38歳女性の末路は(前編)
いけないことだとわかっていても、既婚者と肉体関係を持てば「不倫」になります。
誰かとのつながりを求める自分をそのときは止められず、身を浸した先に終わりを迎える人も多いもの。
過去に不倫をしていた人は、その後どんな人生を歩んでいるのでしょうか。
相手との関係や自身の生活の変化について、女性たちのリアルをお伝えします。
【不倫のその後】#3 前編
「行く場所がない」と嘆く38歳女性
奈々から電話がかかってきたのは、金曜日の夜、今からひとりの時間を堪能できるという9時だった。珍しいなと思ったのは、38歳で独身の奈々は週末は飲みに出るのが習慣で、こちらに連絡をしてくることなどまずなかったからだ。
「報告」はいつも後になってからだよな、と思いながら何かあったのかとすぐ応答のボタンをタップすると、「もしもし」と低い声が流れてきた。
「もしもし、どうかしたの?」
言葉が揺れていることに気づいて真っ先に尋ねると、奈々は
「急にごめんね。いま大丈夫?誰かと話したくなっちゃって」
と小さく息を吐きながら答えた。
「うん、大丈夫だよ」
背後に音がしないうえに元気のない様子の奈々の声を聞きながら、部屋にひとりでいるのかと気になった。確認すると「昔はこの時間は街にいたよね」という流れが発生するので、あえて聞かずにうなずくだけにした。
残暑が落ち着いてきた頃で、週末のお出かけには最適ともいえる夜、どこにも行かずにひとりで過ごす奈々を知るのは、少しだが胸が苦しくなるような感覚を覚えた。なぜそうなっているのか、事情が想像できるからだ。奈々から週末の「遊び」の顛末を聞かされてから、1ヶ月が経とうとしていた。
「行く場所がないの」
かん、とプルタブを上げる金属音と一緒に、奈々がもう一度ため息をつくのがわかった。
「大丈夫なはずだった」不倫
1ヶ月前まで、奈々は行きつけのバーのマスターと不倫していた。女性のスタッフがいるようなお店ではなく、2つのボックス席とカウンターがある小さな規模のバーで、「カラオケもないし、酔っぱらいが突撃してくることもないのよ」と奈々は気に入った理由を最初に話していた。
マスターは45歳、奥さんと子どもがいるが「娘さんの反抗期が始まってから家庭は冷えていて」、お店の経営だけが生きがいなのだと奈々に打ち明けたそうだ。ネオンに引かれて入ってみたら客は誰もおらず、初日からマスターとゆっくり会話ができたという奈々は、のんびりと過ごせるのが気に入ってそれから常連になっていた。
ほかのお客さんと親しくなるならわかるが、客とマスターの関係なら立場が違うし深い仲になるのは逆に難しいのではないかと思ったが、どうして肉体関係を持つようになったのか、ある夜に酔いつぶれて動けなくなった奈々を閉店後のお店に寝かせて介抱しているうちに、「そういう雰囲気になった」のだと奈々は話した。
いわゆる「経営者が客に手を出す」状態は、お酒を出す夜のお店なら起こりやすいのかとそのときは思ったが、問題はその一晩の後もふたりが時間を作ってはホテルに行く不倫関係になったからで、「やめておいたほうがいい」と奈々にははっきりと伝えていた。どんな間柄であれ、相手が既婚者である以上は後ろ暗い関係は奈々が苦しむ結末しか想像ができないからだった。
だが、奈々は「大丈夫よ。ホテルに行くのは昼間とか夕方だし、奥さんは無関心だからバレようがないってあの人が言ってたから。お店に影響が出るような会い方はしていないの」とあっさりと返してきた。会い方の問題じゃない、と思ったが、「イヤになったらお店に行くのをやめればいいだけだから、私もラクで」と肩をすくめる奈々を見て、欲にしたがって動くうちは何を言っても無駄なのだと諦めた。
そして、その不倫はほかの客を巻き込んだ騒動となり、ふたりのつながりは切れた。
▶ある女性により暴かれた不倫
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