「なぜタワマンは1億円なのか?」住まいを純粋に「お金の視点」からドライに見るとすべてがわかる

2024.06.18 LIFE

大学生のアキさん、高校生のルミさん、2人の娘を持つ投資家・文筆家、元ファンドマネジャーの澤田信之さん。「予測を業としてきた自分にも、彼女たちがこれからどのような時代を生きていくのかまったく想像できない」と語る澤田さんが、子どもたちに「生きる視点」を伝えるメッセージ書評を新しくスタートします。

前編『「賃貸vs持ち家」問題、元ファンドマネジャーが「投資目線」で解析すると?結果は驚きの…』に続く後編です。

【父から娘へ書評#1『最後は住みたい町に暮らす』井形慶子】後編

住まい、をお金の視点からドライに見てみると「なぜ1億円か」がわかる

住まいは人生に結構影響を与えるから、違う視点からも住まいについて紹介するね。僕は資産運用が専門だから、お金から見た住まいについて話します。

 

最近東京ではマンションの値段が上がって、タワマン1億円が相場になりました。それには2つ要因があります。1つは住宅ローン金利が低いことと。金利が低いため、所得税からの控除を勘案すれば実質ゼロ! もう1つはマンションを買う人がダブルインカム前提になったことです。

 

日本ではひと昔前まではお父さんが働いてお母さんが家事と育児をやっていました。今は2人とも働いているのでそれをダブルインカムと呼びます。2人で働くと家事と育児は分担制になって、役割は性別ではなくて得手不得手や収入差で割り当てられます。

 

開放経済の貿易を説明するのに「パレート最適」という考えがあります。国の経済格差があるときに役割分担で互恵関係になり得るというものですが、家庭でも性別ではなく特性で役割が決められるようになってきました。旧来の婚姻関係に固執する男性が残る世代では離婚が増えるのも仕方がありません。今の統計ではまだ男女間に所得差があるけど、それもだんだん薄まっていくよね。

 

僕が就職したころは、上場企業大卒の生涯賃金が3億円と言われていました。今は平均賃金が500万円くらい、税引き後だと400万円くらいかな。終身雇用・年功賃金がJTC、ジャパニーズトラディショナルカンパニーの特徴だったけど、今は意味なくなってきたよね。

 

僕は人間は「消費する存在」だと考えています。得た所得を何にどれだけ割り振るかという選択をいつもしている、って認識です。昔は家、保険、車が最大の支出先って言われてたけど、今は家、教育、保険の順番かな。

 

で、マンションに1億円って値段がつくのは買える人がいるっていうこと、つまりダブルインカムになって家庭は豊かになったってことだね。2人はどんな仕事で収入を得るようになるのかな。親として育児をしながら並行して自分のキャリアを形成すると、旧来家庭に専念していたいわゆる専業主婦に比べ、豊かで多様な将来が待っているかもしれません。

 

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