「学ぼうと思えば、年齢からも自由になれる」55歳からの挑戦で、世界が身近に!
日々が飛ぶように過ぎていくなか、自分のあり方に漠然と迷う40代50代。まるでトンネルのなかにいるような五里霧中ですが、この時期を人生折り返しの好機と捉え、動き出す人もいます。新シリーズ「50歳から考えるこれからの仕事と暮らし」ではそんなチャレンジャーたちの体験談をご紹介します。
<<この記事の前編:「『学ぶことにリミットはない』52歳、大学院進学で掴んだ新しい世界」
◾️大野直子さん
東京都豊島区在住の57歳。62歳の夫、27歳と23歳の娘と4人暮らし

写真左/大野直子さん
【50歳から考える これからの仕事と暮らし #3 後編】
10カ月のアメリカ留学で「心が自由になった」感覚を得る

アメリカ留学中の授業風景
52歳で大学院へ。そして55歳でフルブライト留学を果たした直子さん。
そんな直子さんの体験を、「誰もができることではない。もともと、優秀だった人だからだろう」と決めつけてしまうことは簡単でしょうが、ご本人は「私はどちらかといえばいい加減なほう。周りの人に助けてもらうようなタイプです」と笑います。
留学前は「こんな英語だったらバカにされるのでは?」「こうあらねばならない」と力が入っていたそうです。しかし「日本人らしさ」を保ちながら活動していくことが大事なのだ」という考えに至り、「自分で決めつけていた枠が取り払われて、自由になった」と話します。
留学中は大学で日本語を教えるかたわら、教え子に浴衣を着せたり、一緒に日本料理を作ったりして、日本文化を伝える活動も行いました。
帰国後に「日本語教師」の資格を取得
アメリカ留学中も日本の大学院のオンライン授業を継続して受け、二足のわらじを履いて、忙しい生活を送っていた直子さん。
「ホームシックには全くならず、娘たちと画面越しでカードゲームをしたり、家族とも交流していました」と振り返ります。
明るく軽やかに現地の学校とも良好な関係を築いたのでしょう。帰国後はコミュニティカレッジの卒業生を対象に、Zoomでボランティアの日本語講義を始めました。
そんな自分のことを「免許がなくて医師をやっている『ブラック・ジャック』みたいかな」と感じ、420時間の日本語教師養成の集中コースに申し込みました。半年間スクールに通い、56歳で「日本語教師」の資格を取得しました。
早稲田大学大学院に入り直し、博士論文を
現在は早稲田大学大学院博士課程の1年生として、博士論文を仕上げるべく、難しい英語の論文を読み込む毎日。
「早稲田の大学院では英語で論文を書くのは当たり前。くじけそうな気持ちと毎日、戦っています」今年は海外の学会でも論文を発表予定です。
並行して、都内の大学で講師として一般教養の英語を教える機会にも恵まれました。スポーツ系の学部で「英語はあまり好きではない」という学生が多いクラスです。
あるとき、「あなたのすばらしい1日を妄想して語ろう」というテーマで授業をすると、英語が苦手だったはずの学生が、楽しそうにウィットに富んだストーリーで英語を話してくれました。
「もし、あのまま会社にいたら、こんなにステキな学生の皆さんにも会えなかった。あの時決断して、本当によかった」
年齢を重ねると、記憶力も落ちるし、「学ぶなら1年でも早いほうがいい」という考え方もありますが、
「学ぼうと思ったら、年齢さえも飛び越えられる。今のような動きを30歳のときにしたかといえば、できなかったと思います。いろいろな経験を経た今だからこそ、できることもある」と直子さん。未来を担う若者を育てる天職を得て、ますます充実した日々を過ごしています。
あなたの「50代から働き方や生き方を変えてみた」お話もぜひ教えてください。こちらから
ワーケーションを始めた。歯の矯正を始めた。離婚を決意した……などなど、小さなことから大きなことまで歓迎です。人生の後半戦で「自分を大切にする」、「自分のために人生を生きる」そう決意したストーリーが、他の人を励ますことにつながります!
<<この記事の前編:「『学ぶことにリミットはない』52歳、大学院進学で掴んだ新しい世界」
■編集部より■
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