これがこの世じゃ! 『豊臣兄弟!』第2話が突きつけた戦国の理不尽。小一郎と直の未来に光はあるのか……【NHK大河『豊臣兄弟!』2話】

2026.01.13 LIFE

*TOP画像/小一郎(仲野太賀) 藤吉郎(池松壮亮) とも(宮澤エマ) あさひ(倉沢 杏菜) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』2話(1月11日放送)より(C)NHK

 

戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第2話が1月11日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

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小一郎の心に“身分にとらわれたくない”という思いが芽生えたきっかけは直の結婚話?

『豊臣兄弟!』2話は、小一郎(仲野太賀)と了雲和尚(田中要次)のコントのやりとりで始まりました。小一郎が墓の下に隠したお金をめぐる二人の軽妙な掛け合いに笑いを誘われた視聴者は多いはず。しかし、笑いながら観ていられるのも束の間でした。本放送には、小一郎が暮らす村が襲われた悲劇が描かれ、目を覆いたくなるような血みどろのシーンもあり、心が想像以上に強く揺さぶられました。そして、この事件をきっかけに、小一郎の心の中に大きな変化が……。

 

小一郎と直は愛し合い、心は一つのはずなのに、気持ちを伝えられません。小一郎が「嫁入り話の一つや二つないんか」と何気なく聞くと、直は「少禄のお侍の三男坊」と即答。小一郎は明るく祝うものの、表情は曇り、直が遠くへ行ってしまう寂しさが滲みます。直も表面上は喜んでいますが、小一郎が結婚に反対せず、一番欲しい言葉を言ってくれないことに、もどかしさを感じているようでした。

 

この背景には、本人同士がどうしようもできない深い事情が……。直の縁組が決まったことの祝いの席で、玄太(高尾悠希)が「坂井様の娘御と わしら百姓とでは 身分が違いすぎるからのう」と小一郎をなぐさめていたように、二人は結婚を許される関係ではなかったのです。

 

そうした中で、小一郎は藤吉郎(池松壮亮)がかつて語った言葉を思い出します――「信長様は そういう 身分だの家柄だのにとらわれず 真に力のある者をお認めくださるお方だ」

 

同時に、織田信長(小栗旬)から伝えられた「じっとしていては 欲しいものは手に入らぬ。自分の進む道は 自分で切り開くのじゃ」という言葉もまた心に浮かびました。

 

自分の生まれを受け入れ、高望みすることなく、堅実に生きてきた小一郎でしたが、二人の言葉をきっかけに、直のことだけでなく、藤吉郎と清須に行くことも含めて自身の生き方に迷いが生じるようになりました。

 

とはいえ、小一郎は直に自分の思いを伝えられないまま、祝言の日を迎えました。小一郎は直の祝言に出席することもできずにいると、直が祝言を抜け出し、小一郎のもとにやってきたのです。そして、「やっぱり嫌だ。こんな祝言挙げたくない」「小一郎 一緒にこの村を出よう」と誘いました。

 

前回も、玄太と信吉(若林時英)の喧嘩を止め、直にお金をもらっていた小一郎でしたが、今回も「(村を一緒に出たら)5文出す」「10文」と直に言われていました。この二人が日常的にこんなやりとりをしていると思うと微笑ましさを感じます。

 

“この世で生きる”ということ

小一郎と直が村を抜け出すか迷っていると、野盗が婚礼の祝儀金を狙って村に押し寄せ、村人たちを次々と殺していきます。小一郎の知恵でなんとか野盗を追い払うことに成功したものの、馬に乗った集団が凄まじい勢いで流れ込んできて、銃声が響き渡り、多くの村人たちが惨殺されました。

 

小一郎と直は身を隠し、騒動が静まった頃に表に出てみると、死体や腕が転がり、村は荒れ果て、恐ろしい光景が広がっていました。百姓仲間として苦楽を共にしてきた信吉は植えたばかりの苗を守ろうとしたところ、敵に打ちのめされ、無残な姿になっていました。

小一郎(仲野太賀) 直(白石聖) 大河ドラマ『豊臣兄弟』2話(1月11日放送)より(C)NHK

小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟』2話(1月11日放送)より(C)NHK

小一郎が信吉の首を抱えながら、「何なんじゃ これは~!」と泣き叫ぶと、藤吉郎が「これが この世じゃ!」と兄として現実を教えました。

小一郎(仲野太賀) 藤吉郎(池松壮亮) 大河ドラマ『豊臣兄弟』2話(1月11日放送)より(C)NHK

この世で生きるのはつらくも、大変なことであり、理不尽なことも多くあります。人権意識が乏しく、戦が続いた戦国時代においては多くの人たちが今以上にこの世の苦しみを味わっていたと思います。

 

小一郎が荒らされた村を目の当たりにし、「信長も信長じゃ!偉そうなこと言うて…ちっとも わしらのこと 守ってはくれんじゃないか」と怒りをあらわにしていたように、上に立つ者は下の者を守ってくれるわけでもありません。多くの武将は世の安泰のために努力はしていましたが、民を平気で搾取し、ときには軽率に扱っていたことも事実です。

 

誰にでも悩みや苦労はありますが、小一郎が「惨めじゃ!」と泣き叫んでいたように、身分が低ければ低いほど理不尽な思いをしたり、苦水を飲まされたりすることは多いようにも思います。

 

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