【完全解説】「伺わせていただきます」「部長様」は間違い。二重敬語を予防するたった1つのルール

二重敬語というものがあります。敬語が重なってしまい、文法的に間違いだというものです。
この二重敬語に対し「まあ、そんなことで敬意を決める人はいない」「目くじら立てて言うものでもない」などという説もあります。
私も職業に似合わずラフな人間なので、普段は人の口から出た二重敬語を気にしません。
でももし、二重敬語にならないようにするルールがあったら、知りたいと思いませんか?
今日はその辺の簡単なルールを1つだけお伝えします。

 

そもそも二重敬語とは

ビジネスシーンでの二重敬語には、様々なものがあります。
代表例をいくつか挙げますね。

  1. 部長様
  2. こちらから伺わせていただきます
  3. 弊社にお越しになられる際には……
  4. そちら様の仰られる通りです

1の「部長様」についてです

よく、一覧表などで「敬称略」という言葉を見かけませんか?「○○様」や役職名が付いた「○○部長」などの「様」「部長」などの部分を「敬称」といいます。そこを略して、名前だけを羅列し「敬称略」としますよね。そうです「部長」は「敬称」です。ここの部分でそもそも「敬語」の扱い。さらに「様」を付けると敬語が二つ重なっている状態になるので二重敬語なのですね。ここは「部長」でOKです。
「殿」に関しては会社によりOKの場合もあるので、注意しましょう。

2の「こちらから伺わせていただきます」についてです

ここでは「伺う」と「いただきます」の二つの敬語があります。どちらも、自分を下に言って相手に敬意を表す「謙譲語」です。「伺う」は「行く」の謙譲語で、「いただきます」は「もらう」の謙譲語。二つ重なっているので二重敬語なのですね。ここは「こちらから伺います。」でOKです。
また、「させていただく」には他にも理由があり、あまり使わない方が良いのです。この「させていただく」問題については、独自に記事を書いていますので、こちらをご覧ください。
https://otonasalone.jp/98717/

3の「弊社にお越しになられる際には……」についてです

ここでは「お越しになる」と「なられる」の二つの敬語があります。どちらも相手の行為を敬う尊敬語です。「お越しになる」は「来る」の尊敬語、「なられる」は「なる」の尊敬語です。二つ重なっているので二重敬語なのですね。ここは「お越しになる際には……。」でOKです。

4の「そちら様の仰られる通りです」についてです

ここでは「仰る」と「られる」の二つの敬語があります。「仰る」は「言う」の尊敬語、「られる」は尊敬を表す助動詞です。二つ重なっているので二重敬語なのですね。ここは「そちら様の仰る通りです。」でOKです。

 

敬語が重なってしまったら、どちらかを元に戻す!

さて、もう例文から察しが付いた方もいらっしゃると思います。二重敬語にならないようにするには、当たり前ですが、どちらかを元の言葉に戻せばいいのです。どちらかが元の言葉になったら、敬語は1つになり、二重とは言えなくなるからです。

  1. 部長様→部長
  2. こちらから伺わせていただきます。→こちらから伺います
  3. お越しになられる際には……→お越しになる際には……
  4. そちら様の仰られる通りです。→そちら様の仰る通りです

ね。1つにすればいいわけです。その場合、どちらを選ぶのかがポイントになりそうなのですが、文法的にはどちらでも良いのです。

3の「お越しになられる」を例にとって見てみましょう。
ここでは「お越しになる」と「なられる」の二つの敬語があります。どちらも相手の行為を敬う尊敬語です。「お越しになる」は「来る」の尊敬語、「なられる」は「なる」の尊敬語です。なので、戻し方としては、「お越しになる」を「来る」に戻すか、「なられる」を「なる」に戻すかです。

  1. 「来られる際には」
  2. 「お越しになる際には」

となります。文法的にはどちらでも構わないわけです。ただ「来る」を「お越しになる」として言葉を換える方が高度な敬語表現だという印象があります。「食べる」を「いただく」、「見る」を「拝見する」に直すのと同じです。なので、後者の「起こしになる際には」の方が良いのです。

4の「そちら様の仰られる通りです。」も見てみましょう。
ここでは「仰る」と「られる」の二つの敬語があります。「仰る」は「言う」の尊敬語、「られる」は尊敬を表す助動詞です。なので、戻し方としては、「仰る」を「言う」に戻すか、「られる」を抜くかです。

  1. 「そちら様の言われる通りです」(「れる」の変化)
  2. 「そちら様の仰る通りです」

となります。この場合も文法的にはどちらでも構いません。ただ、この場合も「言う」を「仰る」として言葉を換える方が高度な敬語表現だという印象があります。

 

例・×「何をされていらっしゃる」→○「何をされている」

さて、冒頭の文章「何をされていらっしゃる」です。
こちらは、何と何が二重なのか分かりますか?そうです。ここまで読んだ人ならもう分かりますね。「される」と「いらっしゃる」です。どちらも相手の行為を敬う尊敬語です。「される」は「する」の尊敬語、「いらっしゃる」は「いる」の尊敬語です。

 

とにかくどちらか1つを元の言葉に戻す

この場合、戻し方としては、「何をされる」を「何をする」に戻すか、「いらっしゃる」を「いる」に戻すかです。

  1. 「何をしていらっしゃる」
  2. 「何をされている」

となります。この場合も文法的にはどちらでも構いません。この場合も「する」を「される」と変換する方が言葉が大きく変わっていますので、「されている」が高度な敬語表現だという印象があります。

  • あの方は、何をしていらっしゃるのですか?
  • あの方は、何をされているのですか?

もちろん、シチュエーションによって変わる場合もあります。ただ、どちらの場合も、とにかく敬語は重ねないこと、どちらか1つを元の言葉に戻すのが重要なポイントです。

スポンサーリンク

目上の人に「お体ご自愛下さい」は失礼?NG敬語メールと文末の正解7ポイント

以前、目上の方に帰りしなに「これからも頑張って下さい!」と伝えたら、「あなたがね」と失笑された経験があります。頑張って成果を出している人に対し「頑張ってください…

「伺います」と「参ります」どちらを使うべき?意外な敬語の間違いと意味

仮に、アポイントの確認をするとしましょう。「明日、オフィスに伺おうと思います」「明日、オフィスに参ります」。メールでも電話でも、どちらも正しいように感じますが、…

敬語の3大間違い。「させていただく」「よろしかったでしょうか」「おっしゃられる」

敬語はとにかく丁寧であればいい、だからたくさん丁寧な要素を入れればいい。そう考えているなら、おそらくあなたの敬語はだいたいが間違っています。中でも代表的な間違い…

「甘味処」は「かんみどころ」じゃない⁉簡単なのに読み間違える熟語10個

「重版出来!」という速報を読んで、「○○さんの本、じゅうはんできだって!すごいね!」と伝えてくれた友人。ツッコミどころ満載でしたが「へー、すごいね!」と流しました…

丁寧なつもりが無礼に!3つの危険な日本語「了解」「大丈夫」もう1つは

礼儀正しく言っているつもりが、実は「失礼」にあたる言葉だった。そんなガッカリなことはありませんよね。もちろん、人間なのでつい言い間違えてしまうこともありますが、…

「さすがです」は実は失礼?相手をうんざりさせる3つの敬語

敬語に関して、使う立場としては、本当に色々気を遣っているのですが、果たして敬語を受ける立ち場の方から見ると、どのような感じなのでしょうか。私も年齢を重ね、人並み…

「させて頂く」とは失礼!そのワケと改善案を解説

あなたが今朝送ったメールに、「させて頂く」という言葉は何回出てきましたか? そして「いただく」を「頂く」としていませんでしたか? 今日はその2点について、どうし…

「過不足」は「かぶそく」ではない!ありがちな濁点がらみの誤読5つ

新年号が「令和」に決まりましたね。清音か濁音かという間違いがない熟語で良かったです。「平成」に元号が変わった時は、「へいぜい」ではなく「へいせい」でいいの?のよ…

続柄は「ぞくがら」じゃないの?みんなが間違えている読み方10選

この前、「続柄」を「ぞくがら」と読む声が聞こえ、ちらっと横目で見てみると、ちゃんとした大人の女性でした。こうして訂正される機会がなかった人って、結構多いのだろう…

「押印」おういん?簡単なのに読み間違える漢字10選

この原稿を書いている日は五月ですが、空は快晴です。とても気持ちの良い晴天です。しかしここで「五月晴れ」と書いてはいけません。この「五月晴れ」を「ごがつばれ」なん…

「きゅうきゅうしゃ」って書ける?意外とみんな間違える漢字

今日は読めるのに、書けそうで書けない熟語を集めました。いざというときに「あれ?どう書くんだっけ?」と慌てないよう、しっかり準備しましょう。下線部のかなを漢字に直しなさい。そう、漢字テストですよ(笑)1・…

「往来」じゅうらい?みんなが間違えがちなNG日本語10個

なんとなくこう読むのかもなーと思いつつ、しっかり確かめなかったがために、いざという時に恥ずかしい読み間違いをしてしまうこともあります。今日は意外と読み間違いの多い熟語を集めました。この機会にチェック!…

「強面」ごうめん?間違えてたら赤っ恥すぎる日本語のNG読み10

目で見る分には意味が分かるからと、正確な読みを気にとめなかった熟語ってありますよね。いざ、音読しなくちゃいけない時に、とんでもない読み間違いをして、恥ずかしい思いをしないようにしたいもの。今日は、よく…

「牛車」はぎゅうしゃでOK?意外に間違える日本語の読み10

今回は「説明」に、ちょっと為になるワンポイントアドバイスを入れました。間違いも正せて為にもなる、そんなコラムをどうぞ。1・意訳読み間違いの例いわけ正しい読みいやく意味原文の一語一語にこだわらず、全体の…

「大舞台」だいぶたいで合ってる?みんなが間違える日本語の読み

読み間違いしやすい漢字を集めたコラムは世の中たくさんありますが、何回も見てしまうのは、うろ覚え、覚え切れていないからかと思います。国語教師としては、そのあたりの工夫を凝らしてみたいもの。今日は、例文を…

「押印」おういん?簡単なのに読み間違える漢字10選

この原稿を書いている日は五月ですが、空は快晴です。とても気持ちの良い晴天です。しかしここで「五月晴れ」と書いてはいけません。この「五月晴れ」を「ごがつばれ」なんて読んではいけないし、しかもこの言葉は「…

「役務」って正しく読めてる?簡単なのに間違える漢字10選

新元号に変わり「令和」となりました。この「令」という文字は、フォントによって形が違います。万葉集が出典だったこともあり、日本語に興味が集まっているようです。今回も、誰もが知っている漢字を使っているのに…

「一段落」は「いちだんらく」?知らないと恥かく読み間違え10選

元号改正で再び漢字に注目が集まっています。誤読をした政治家が立たされるなど、ヒヤヒヤする場面も。今回は、誰もが知っている漢字を使っているのに、誤読の多いものを選んでみました。1・一家言読み間違いの例い…

合いの手は「入れる」?「打つ」?意外と曖昧な言葉5選

言い回しが何だかとっても似ていて、もうどっちが正しいか分からなくなってしまった言葉はありませんか? そんな言葉の中から、間違いやすい曖昧な言い回しを5つ選んでみました。解説も付けましたので、今日、この5…

「極めつけ」「極めつき」どっちが正しい?うろ覚えだと恥ずかしい言葉10選

日本語の言い回しには、とても似通ったものがあり、きちんと覚えていないと、恥ずかしい言い間違いになってしまうことも。今日はそんな「うろ覚え」な言い回しを10個選んでみました。どうして覚え間違いをしているの…

スポンサーリンク

スポンサーリンク

WORKに関する最新記事