今年も新生活の季節がやってくる!やりたいと思ったことの「扉」は大胆にあけていって!

ジブリの名作『千と千尋の神隠し』。

公開から何年経っても、主題歌『いつも何度でも』を聴くと、美しい世界や感動が蘇る人も多いはず。

そんな、すてきなテーマ曲の作詞をされた覚 和歌子さん。

このコーナーでは、彼女の手がけたタロットカード「ポエタロ」より、カードのテーマに沿って書かれた覚さんのエッセイを一話ずつご紹介しています。

 

今回のカードは「扉」

未知なる世界への入り口として、映画のワンシーンで、漫画や小説でよく登場するキーワード。

いつだって、次はどんな展開になるのかドキドキしちゃいますよね。

この「扉」のカードには、いったいどんなメッセージが込められているのでしょう。

 

覚さんのエッセイの前に、カードの解説文から少し。

 

その選択に不安を感じる必要はない。

魂の進化に照らせば、起こることが正しい。

 

ドアノブに手をかける、扉をあけて片足を前に踏みこみ、家の外に出る。

なんてことない日々の小さな動作ですが、意識的に行っている人がいったいどれだけいるでしょうか。

たいていの人は記憶にも残らないほど、無意識に扉をあけているはずです。

疑いようがなく、恐れるべきこともありません。

 

ところがどっこい、扉の向こうに何があるのか分からなかったら?

きっと、あけることを躊躇したり、やむを得ず諦めるひとも多いのでは。

自分の想像の及ばない何かに恐怖をおぼえるのは、当然の防衛本能です。

 

けれどもし、映画の主人公が、先のリスクを考えて扉をあけなかったら?

大変なトラブルに巻き込まれることもありませんが、最愛の親友や恋人に出会うことも、すばらしい経験をすることもないでしょう。

 

複雑で綿密なプランも、ときには大いにあなたを助けてくれますが

このカードに出会ったなら、扉の向こうで待っている誰かが、絶対に、未来のあなたを助けてくれます。

気になっている扉があるなら、えいやっと踏みこんでみましょう。遅すぎることはありません!

 

それでは、覚さんのエッセイをどうぞ。

 

***

 

【扉】開けてみればよかった

ずいぶん昔、

慌てて開けた玄関扉の角で、

待っていた叔母の右足親指を怪我させてしまったことがある。

 

叔母は裸足のサンダル履きで、

明くる日テニスの試合に出場することになっていた。

「いたたたったったっ」とケンケンした叔母の苦しみよう。

あとで聞けば、

試合の結果は当然良くなかったらしい。

 

足の指、というのがポイントなのだと思う。

おでことか、

ひざ小僧とかではなく、

足の親指。

 

厚い硬い爪が頼もしく守る足の親指。

それを損なうほど迷いのない力の入れ方で、

扉は勢いよく開け放たれたということだ。

何をそんなに盛り上がっていたのか私。

 

あれから扉を(内側から)開くのに必要以上に慎重になって

(ほとんど怯えて)いる自分がいる。

 

一方、やりたいと思ったことの扉はいつも大胆に開け放つ。

 

今思えば大学を卒業して定職につかないという選択も、

つつましい公務員の家庭で育った娘には

ある意味の賭けだった。

 

OLになったらそれなりにオフィス仕事をやれて、

他人の期待に答えてしまう自分を知っていたからこそ、

心の奥底が欲するところにしたがって

それをしないことが必要だったのだ。

 

扉は開けてしまえば何とかなる。

そもそも開けたくなるという直感は信用していい。

 

直感は理屈で考えるよりも正しいことが多い。

 

進む道を決めかねている人は、ほとんどこのカードを引く。

 

扉を開けてその中へ踏み込んでみることも、

踏み込んでみてやり直すことも、

いまあなたに必要なのかもしれない。

 

開けてみればよかったという後悔だけは、かなしい。

 

 

覚 和歌子

©FUKAHORI mizuho

詩人・作詞家

山梨県生れ/千葉県育ち。早大一文卒。平原綾香、smap、新垣勉、夏川りみ、クミコ、ムーンライダーズなどの作詞で、多くの作品をCD化。NHK全国学校音楽コンクール課題曲、校歌、合唱組曲等の作詞なども多く手がける。01年『千と千尋の神隠し』主題歌『いつも何度でも(曲・歌唱/木村弓)』の作詞でレコード大賞金賞。詩集『ゼロになるからだ』(徳間書店)、『はじまりはひとつのことば』(港の人)、『2馬力』(ナナロク社)など。エッセイ、絵本、翻訳など著作多数。映画監督、脚本、舞台演出、朗読、自らのバンドを率いてのソロライブ、米国ミドルベリー大学日本語学特別講師など。詩作を軸足にマルチな活動を展開。

 

***

 

ポエタロ」とは?

「ポエムタロットカード」を縮めた名前、『ポエタロ』。

47枚のカードにはそれぞれ、美しくやわらかい日本語の詩と、

かわいらしくも不思議な魅力のあるイラストが描かれています。

使い方はいたって簡単。シャッフルしたカードの中から、

その時の直感で1枚、あなた自身のためにカードを引いてみてください。

1日のはじまりにその日の指針を得てもいいし、なにか大きなチャレンジの前、

なかなか超えられない壁に直面しているときに。

そのときの気持ちや環境にリンクした、やさしい詩とメッセージが、

次の1歩を踏み出す勇気や確信を与えてくれる不思議なカードです。

あなたの心強い味方になってくれるはず

 

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『ポエタロ いのちの車輪をまわす言葉』

覚 和歌子・著 石川 勇一(相模女子教授)・監修 大野 舞(Denali)・画 カード47枚 ガイドブック付き 3,780円(税込)/地湧社

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