大人になってから発症・再燃することも。40代・50代のアトピー性皮膚炎【専門家監修】
食物アレルギー、喘息、花粉症……。関連はあるが、経過は一人ひとり異なる?
―赤ちゃんの頃は大丈夫でも、大人になって発症するケースもあるのですね。
はい。日本では、乳幼児期から学童期の子どものおよそ10人に1人にアトピー性皮膚炎がみられます。皮膚のバリア機能が低下して刺激が入りやすく、炎症とかゆみが互いに悪化させ合うことが特徴です。
乳幼児期のアトピー性皮膚炎は、その後の食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎の発症リスクと関連します。このように、年齢とともに異なるアレルギー疾患が現れる経過は『アレルギーマーチ』と呼ばれてきました。ただし、すべての人が決まった順序で発症するわけではありません。
アレルギー疾患の経過は一人ひとり異なります。皮膚症状だけで落ち着く人もいれば、複数のアレルギー疾患を併せ持つ人もいます。また、小児期の皮膚症状がいったん軽快した後、成人期に再燃することもあります。
―アレルギーマーチについて、もう少し詳しく教えてください。
特に乳幼児期には、皮膚のバリア機能が低下した部位から食物や環境中のアレルゲンに感作される可能性が指摘されています。
そのため、乳幼児期のアトピー性皮膚炎は、後の食物アレルギーや喘息、アレルギー性鼻炎のリスク因子の一つと考えられています。ただし、関連には遺伝的素因や環境要因なども関わり、アトピー性皮膚炎だけが原因というわけではありません。
アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患の中で早期に現れることが多い一方、典型的なアレルギーマーチをたどるのは一部です。英国の出生コホートを用いた解析では、アトピー性皮膚炎に続いて喘鳴・鼻炎が現れる典型的な経過は、対象集団の約3%でした。成人期の治療でまず目指すのは、今ある皮膚症状とかゆみを抑え、再燃を減らし、生活の質を守ることです。将来のアレルギーを心配しすぎるより、皮膚を良い状態に保つことを大切にしましょう。
つづき▶▶「ステロイドは怖い」は本当? ここまで変わったアトピー性皮膚炎治療と、正しい外用薬の使い方
お話を伺った先生:長尾みづほ先生
独立行政法人国立病院機構 三重病院 臨床研究部 臨床研究部長。医学博士。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医・指導医。1997年岐阜大学医学部卒業。同年岐阜大学小児科に入局し、2002年に大学院を卒業。アレルギー専門医として日々臨床や研究に取り組む。
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