「ステロイドは怖い」は本当? ここまで変わったアトピー性皮膚炎治療と、正しい外用薬の使い方

もう「どうせ治らない」と諦めなくていい!激変したアトピーの「最新治療」

―大人のアトピー性皮膚炎に対して、日常的にできるケアはありますか?

 

基本は、皮膚をこすらずにやさしく洗い、しっかり保湿するという毎日のスキンケアです。

 

アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能が低下しているため、油分や水分が逃げて乾燥しやすく、外からの刺激も入り込みやすくなっています。保湿などのスキンケアは、皮膚のバリア機能を補う治療の土台です。

 

炎症が出ている場合には、赤みやかゆみを十分に抑えるため、症状や部位に合った外用薬を適切に使用しましょう」

 

―アトピーの治療は、昔と比べて変わってきているのでしょうか。

 

以前は、悪化したときだけ外用薬を使用し、改善するとすぐに中断して再燃する、という経過を繰り返すことも少なくありませんでした。現在は、まず炎症を十分に抑えたうえで、外用薬の使用回数を徐々に減らしながら良い状態を維持する『プロアクティブ療法』など、再燃予防を重視した治療が行われています。

 

ここ数年で治療の選択肢は大きく広がりました。従来のスキンケアやステロイド外用薬、タクロリムス軟膏に加え、新しい外用薬も使用できるようになっています。

 

さらに、適切な外用治療だけでは十分にコントロールできない中等症から重症の患者さんでは、生物学的製剤、JAK阻害薬、光線療法などの全身的な治療も選択肢になります。これらは炎症やかゆみに関わる分子やシグナル伝達を標的とする治療ですが、外用薬より一律に優れているという意味ではありません。重症度、年齢、併存症、安全性、通院や服薬のしやすさなどを考慮して使い分けます。

 

―選択肢が増えたのは心強いですね。

 

アトピー性皮膚炎の負担は、かゆみだけではありません。不眠や疲れ、集中力の低下、見た目への不安、心理的負担、仕事や日常生活への支障も生じます。国内調査では、重症度が高いほど生活や仕事への影響が大きいことが示されています。

診察では、皮疹の範囲や重症度だけでなく、睡眠、仕事、家事、見た目の悩みなど、生活の中で困っていることも医師に伝えてください。外用治療だけで十分にコントロールできない場合には、全身療法を含む次の選択肢について相談できます。

 

症状やライフスタイル、治療に対する希望を踏まえ、医師と相談しながら治療方針を選べる時代です。慢性で再燃しやすい病気ではありますが、適切な治療によって症状をコントロールし、良い状態を長く維持することが目標です。『どうせ治らない』と諦める必要はありません」。

 

更年期には皮膚の乾燥やかゆみが起こりやすくなりますが、すべてがアトピー性皮膚炎というわけではありません。一方、大人になってから初めて発症したり、小児期の症状が再燃したりすることもあります。保湿を続けても湿疹やかゆみが改善しない場合には、『更年期だから』と決めつけず、皮膚科で診断を受けましょう。現在は外用薬から全身療法まで治療選択肢が広がり、一人ひとりに合わせて良い状態を維持することを目指せるようになっています。

 

◀◀大人になってから発症・再燃することも。40代・50代のアトピー性皮膚炎【専門家監修】

 

お話を伺った先生:長尾みづほ先生

独立行政法人国立病院機構 三重病院 臨床研究部 臨床研究部長。医学博士。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医・指導医。1997年岐阜大学医学部卒業。同年岐阜大学小児科に入局し、2002年に大学院を卒業。アレルギー専門医として日々臨床や研究に取り組む。

1 2 3

スポンサーリンク