「おざなり」と「なおざり」どっちが正解?わかりにくい日本語の意味
ぼくたち、ずっとこのことを「おざなり」にしてきたよね。
なんとなく意味は分かりそうですよね。では次の言葉はどうでしょう?
ぼくたち、ずっとこのことを「なおざり」にしてきたよね。
このカップル、どっちの状態が重症か分かりますか?
今日はそんなお話です。
暫時、漸次(ざんじ、ぜんじ)
事務所移転まで暫時この会議室を使いますが、この問題は漸次解消していきます。
暫時(ざんじ)と漸次(ぜんじ)、音がとても似ていますが意味は少し違います。
暫時(ざんじ)
すこしの間。しばらく。しばし。漸次(ぜんじ)
だんだん。次第に。
確かに違うのですが、音が似ているのと、両方とも「斤」が入るので紛らわしいですね。
覚え方としては、熟語とセットで覚える方法をおすすめします。
暫時休憩(ざんじきゅうけい)……少し休憩
暫時利用(ざんじりよう)……取り急ぎ少しの間だけ使う漸次増加(ぜんじぞうか)……少しずつの増加
漸次快方に向かう(ぜんじかいほうにむかう)……少しずつ良くなってきている
こんな感じです。「暫」と「漸」に注目するよりも「時」「次」に注目すれば間違いが少なくなると思います。
いぎたない、いじきたない
さあ、これは音が似ているのに、意味が全然違う言葉です。でも、覚えにくい!
いぎたない(寝穢い)
眠りこけていて、なかなか目を覚まさない。寝坊。いじきたない(意地汚い)
飲食物や金品に対する欲が強い。
同じいやしい感じでも、かなり場面が違いますよね。
いぎたないは、眠りに関することにしか使えませんし、いじきたないは、眠りにはあまり使いません。
つまり、いぎたない寝方とは言いますが、いぎたない食べ方とは言えませんし、意地汚い食べ方とは言いますが、意地汚い寝方とは言えません。
言葉の音がとても似ているので、時々混同してしまう人がいるので要注意です。また「寝穢い(いぎたない)」という言い回しを知らないため、「それは『いじきたない』の言い間違いでは?」と思う人も多いそうです。どちらも気をつけましょう。
おざなり、なおざり
漢字で書くと「お座なり」と「等閑」ですが、漢字に直したからといって、すぐに覚えやすくはなりませんね(笑)
ちょっと意味を見ていきましょう。
おざなり
当座をつくろうこと。その場のがれにいい加減に物事をするさま例
忙しさに食事をおざなりにする。おざなりにものを言う。なおざり
あまり注意を払わないさま。いい加減にするさま。おろそか。例
被災者をなおざりにする法案。なおざりにしているので意見も言えない。
どうでしょう。少し違いが分かりますか?どちらも「いい加減」という言葉が入っていますが、そのいい加減さに若干違いが見られます。
- 忙しさに食事をおざなりにする。
- おざなりにものを言う。
からも分かるとおり、「おざなり」は、その行為をしているにはしているんです。食事はとっているし、ものを言ってはいる。だけど「いい加減」
例えば、きちんとした食事ではなく、栄養ドリンクで済ませているとか、駅の立ち食いそば屋で済ませているとか、そういう意味の「いい加減」さはあるけれど、食事は取っている。
「そうだね」とか「まあね」とか「いい加減」な物言いではあるけれど、言うには言っている。
これが「おざなり」です。
そして「なおざり」ですが
- 被災者をなおざりにする法案。
- なおざりにしているので意見も言えない。
この例からも分かるとおり、言い換えてみれば「なおざり」は「何の対応もしていない」という状態を表します。
この二つの言葉は、「り」だけが一緒で、他の三語が入れ替わるだけの「音」の微妙な違いですから、どちらか一方をしっかり覚える方が早いと思います。
私は「おざなり」の方を徹底的に覚えてしまうと良いと思います。
ぼくたち、ずっとこのことを「おざなり」にしてきたよね。
ぼくたち、ずっとこのことを「なおざり」にしてきたよね。
そう、問題を「おざなり」にしているのなら、きちんと話し合って。そしてけして「なおざり」にはしないでくださいね(笑)
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