「妻に、もう一度求めてほしかった」外に逃げた47歳夫の告白。痛烈な遠回りを経てたどり着いた「10数年目の本音」

2026.07.31 LOVE

『性機能障害の全国実態調査に関する報告』でも明らかになった夫婦間の「セックスレス」問題。【前編】では、妻を愛していながらも一方的に誘い続ける役割に疲れ果て、期待することを諦めてしまった夫・ヒロユキさん(仮名・47歳)の抱える「求める側の孤独」について追いました

【後編】となる本記事では、行き場を失った感情が家庭の外へ向かってしまったことによる現実と、その痛切な遠回りの果てに彼がたどり着いた結論をお届けします

<<【前編】を読む
『「人としては大好きなんです」誘い続けて10数年、心が折れた夫が「妻以外」に求めたもの』

 

※個人が特定されないよう設定を変えてあります
※写真はイメージです

【無子社会を考える #35】後編

 

 

家の外で、枯れたはずの感情が動いた

きっかけは、仕事を通じて知り合った女性でした

「最初はただ話が合うだけの相手だったんです。でも会って話すたびに、自分の中で枯れたと思ってた感情がじわっと動きだすのがわかった。ああ、俺、まだこういう気持ちを持てるんだって。正直そのこと自体に救われるような思いがありました」

関係は一線を越えました。ヒロユキさんはそれを美化するつもりはないときっぱり言います

「不倫ですよ。どう言い繕っても。相手に対しても妻に対しても誠実じゃなかった。それはもうはっきりそう思ってます」

けれどその関係のなかで、ヒロユキさんは自分でも意外な感覚に襲われたといいます。求められること、応じてもらえること——長らく渇いていたはずのその実感を得たとき、心が満たされるより先に奇妙な虚しさがやってきたのです

「満たされると思ってたんです。ずっと欲しかったものがそこにあったわけだから。でも実際に手に入れてみたら、心のどこかがずっと冷めてた。この人とこうしていても、俺が本当に埋めたかった穴は埋まらないなって。むしろ埋まらないことのほうがはっきりわかってしまった」

外に求めてはじめて見えたもの。それは皮肉にも、自分が本当に向き合いたかった相手が誰なのかという問いでした

「行為そのものが欲しかったわけじゃなかったんだなって。妻に、また女性として求めてほしかった。妻を、もう一度ちゃんと求めたかった。そのことに遠回りしてようやく気づいたんです。一番傷つけたくない人を傷つけながら」

 

 

遠回りの果てに、妻のもとへ

その関係を、ヒロユキさんは自分から終わらせました。相手を責める気持ちは一切ない、と念を押します。ただこれ以上続けることは三人の誰も幸せにしないと悟ったからでした。家に帰り、彼はしばらく抱えきれない罪悪感のなかで過ごします。とはいえ打ち明けることなんて絶対に出来ない。だから墓場まで持っていくしかないと正直に語ります

「不倫を告白することが誠実さだとは思えなかった。それは自分がラクになりたいだけかもしれない。妻を傷つけて自分の罪悪感を下ろすだけなんじゃないかって。だからそのことは一生言いません。バレたらそれは仕方ありませんが自分から言う必要はないです。とはいえ、これだけは決めたんです。もう一度妻に向き合おうって」

彼が選んだのは、夫婦関係の有無をいきなり問い直すことではありませんでした。その手前の、気持ちを言葉にすることでした。断られるのがつらかったこと。いつしか傷つかなくなって、それがかえってこわかったこと。「誘う側」をずっと一人で担ってきたのがしんどかったこと。責めるのではなく、ただ自分が感じてきたことを少しずつ伝えていったといいます。もちろん外での関係のことは伏せたまま。それでも、これまで一度も口にしなかった本音を差し出すのは彼にとって大きな一歩でした

「妻も黙って聞いていました。そのあとぽつりと『そんなふうに思ってたなんて知らなかった』って。妻のほうも応じられないことにずっと引け目があって、でもそれを言葉にするのが怖くて、結局『また今度』でごまかしてたと言うんです。お互い、相手の中身を何もわかってなかったんですよね。もちろん不倫がない前提の話なので、私が悪いです」

その夜から、すぐに何かが劇的に変わったわけではありません。レスがあっさり解消したわけでも、奥さまから誘われるようになったわけでもない。けれど「誘う・断る」という固定された構図そのものを、二人で少しずつ問い直せるようになったといいます

「触れ合いそのものよりまずそこなんだなって。どっちが誘うとか応じるとか応じないとか、その前にお互いが何を感じてるかを置き去りにしてたら何も始まらない。今は結論を急がないようにしてます」

 

▶正直に言えば、今もふと欲望がよぎる瞬間がある…

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