岩井志麻子 「元カレが忘れられない」女性たちの心理とは

2019.05.21 LOVE

ホリプロにお世話になる前はフリーで、押しかけの素人マネージャーを雇っていた私。とにかくサザエさんのような、おっちょこちょいのドジオバサン。

だからホリプロのプロのマネージャーがついてくれたとき、あまりにも仕事がスムーズに進み、何のトラブルもなく終わり、当然のように次の仕事につながることに大感激し、大衝撃を受けた。

 

ありがたさを気づく瞬間

しかし、なんと優秀なマネージャーなんだと泣く私に当のプロのマネージャー達は、「私らマネージャーとして、当たり前の仕事をしているだけですよ」と苦笑する。

 

もちろん今のマネージャー達は優秀なんだけど、日時や場所を間違えずスケジュールを組む、書類仕事も期日を守る、きちんとした格好で適切な営業をする、などなどいわれてみれば、会社員としての仕事をミスなく遂行している、ともいえる。

 

前のマネージャーはダブルブッキングすっぽかしド忘れ当たり前、請求書ひとつまともに書けない、SM女王様みたいな格好で出版社やテレビ局に行って、初対面の大作家や有名芸能人にホラ話を吹きまくる。ある意味、私以上にキャラの立ったオバサンだった。

 

その評価は、冷静なのか?

さて。最近は「元彼とヨリを戻す」みたいなのがちょっとしたブームらしいが、「今の人がひどすぎると、ごく普通ってだけで前の人を素晴らしかったと思い出す」「前の人がひどすぎると、ごく普通ってだけで今の人が素晴らしく見えてくる」ってのもあるのよ。

 

うちのお向かいにタイ料理店があって、よく行く理由はとにもかくにも近いから、だった。もちろん不味くはないけど、特に美味しいとも思わず、従業員の接客、店内の雰囲気、あらゆるものが「可もなく不可もなく」と見ていた。

 

元彼は遠きにありて思うもの

それが先日、たまたま別のタイ料理店に入ったのね。そしたら、メニューの半分以上が「できない」と素っ気なくいわれ、従業員が客そっちのけでカラオケしてんの。あきれはてたと同時に、うちの向かいにあるタイ料理店はなんて素晴らしい店だったんだ、と驚いた。

 

これよ、あなたの元彼への唐突な高評価は。私のたとえ話はぴたりとハマるもんじゃないが、元彼に心がいってるあなた。比較、対比で変わるだけのこともあり、本人そのものの冷静な評価ではないかもってことを、心に留めておいてちようだい。

 

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この記事は
作家 岩井志麻子

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