「一緒にいて楽しくない。尊敬もできない」65歳妻が、それでも離婚しなかった理由

2026.09.05 LIFE

社員には怒鳴りつけ、自分より立場が上の人の前では別人のように低姿勢になる夫。家庭では、Fさんが家事も会社の事務も支えているにもかかわらず、それを「やって当たり前」と扱い、自分の都合が最優先。

そして、宅配便が遅れたことに激怒した夫に「あなた、自分を何様だと思ってるの?」と尋ねると、返ってきたのは、まさかの「俺様」という言葉でした。

<<前編:モラハラ夫と40年も連れ添ってしまった。モンスタークレーマーなのに、偉い人には媚びへつらう。私の残りの人生「一緒にいて楽しくない」こんな男性と夫婦でいいのかな

後編では、否定的な言葉や不機嫌な態度、見栄や散財まで続く夫との生活の中で、65歳になったFさんが「離婚する/しない」だけではない、自分なりの生き方を選んでいくまでをお伝えします。

 

相手のことを考えない、想像しない夫

モラハラをする人は、自分の考えや要求が、ほかの人より優先されて当然だと思っていることがあります。そのため、相手にも都合や事情があるということに思いが至りません。宅配便が遅れれば、「何か事情があったのかもしれない」ではなく、「自分を待たせた」と怒る。

 

妻が意見を言えば、「妻には妻の考えがある」ではなく、「俺に逆らった」と怒る。社員が提案をすれば、「別の考え方もある」ではなく、「社長に意見した」と怒る。場面は違っても、根底にあるのは、「自分の思いどおりになって当然」という考え方です。

 

見栄を張るために、無理をしてでも散財する夫

夫は、とても見栄っ張りでもありました。会社を経営しているといっても、決して大きな利益が出ているわけではありません。それなのに、人前では羽振りよく見せたがります。

 

欲しいものがあれば買う。

人との付き合いにもお金を使う。

気になる店があれば出かける。

 

そして支払日が近づき、お金が回らなくなると、結局Fさんが自分の預金から一時的にお金を出すことになるのです。Fさんがいなければ会社は回らない。それなのに、夫はFさんを大切にするどころか、罵声や文句ばかりを浴びせます。

 

夫が自慢するのは、肩書のある人と知り合いだということ。そして、お金を使って自分を大きく見せようとする傾向が強くありました。こうした言動の背景には、自分の価値を「誰とつながっているか」「どれだけお金を使えるか」で示そうとする心理があります。だからこそ、実際の自分以上によく見られることにこだわり、見栄を張るためなら、無理をしてでもお金を使ってしまうのです。

 

「もう無理」と思っても離婚しなかった理由

仕事が終われば、夫はゴルフレッスンやジム、気になる店への外食など、好きなように過ごしています。家のことはFさんがする。会社の事務もFさんがする。お金が足りなくなれば、Fさんがなんとかする。

 

Fさんは何度も、「一緒にいて楽しくない。尊敬もできない」と思いました。離婚を考えたことも、一度や二度ではありません。けれど、子どもの進学やさまざまな事情があり、気がつけば結婚40年。65歳になっていました。

 

65歳の今、離婚して財産分与を受けたとしても、残りの人生を暮らしていけるのかという不安があります。夫は散財するため、十分な貯金もありません。年金分割をしても、お互いの生活に余裕があるとは言えません。住居費もかかります。これから何年生きるのかもわかりません。

 

Fさんは、「離婚できない」のではありません。これからの人生を考えたうえで、今は離婚しないほうが自分にとって現実的だと判断したのです。

 

ただし、離婚しないことと、これからも夫に振り回され続けることは別です。Fさんは、モラハラについて書かれた本を読み、「夫の言葉や態度を、自分の心の中にまで入れない」という考え方を知りました。

 

夫を変えようとしない。

夫が不機嫌だからといって、自分まで不安にならない。

 

これは、心理的には相手との間に境界線を持つということです。これまでFさんは、夫が「はぁー」とため息をつけば、「私が何かしたのかもしれない」と考えていました。夫が不機嫌になるたびに、Fさんの心まで夫の機嫌に引っ張られていたのです。

 

でも、「夫が不機嫌なのは、夫の問題」と考えれば、Fさんがその感情まで背負う必要はありません。

 

夫がテレビに向かって悪口を言っていても、聞き流す。そしてFさん自身も、自分の仕事を大切にする。好きなときに友人に会う。行きたいところへ行く。自分が楽しいと思える時間を、自分でつくるようになりました。Fさんの心は、少しずつ変わっていったのです。

 

離婚しなくても、心まで支配されなくていい

モラハラ夫と暮らしている人が、全員、離婚すれば幸せになれるとは限りません。もちろん、暴力や脅迫があり、身の危険を感じる場合には、安全を最優先にする必要があります。しかし、人それぞれ年齢も経済状況も、家族の事情も違います。

 

Fさんのように、離婚をしないまま、心理的な距離を取る人もいます。大切なのは、離婚しないことを「これからも我慢し続けること」にしないことです。Fさんが65歳になって選んだのは、夫のモラハラに反応し続ける生活ではなく、夫とは心の距離を取りながら、自分の人生を生きることでした。

 

夫が変わらなくても、自分の生き方は変えられる。

これからの人生をどう生きるのか。

それを決めるのは、夫ではなく、Fさん自身なのです。

 

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク