不登校の背景に「天気」あり?見逃されがちな子どもの「気象病」とは…症状の特徴と親が知っておきたいサイン【専門医が解説】

朝になると「頭が痛い」「お腹が痛い」と訴え、学校に行きたがらない。我が子のそんな姿に、どう対応すればよいのか悩む保護者も少なくないでしょう。実はその不調、精神的な問題や怠けではなく、天気の変化によって引き起こされる「気象病」が関係している可能性があるといいます。

天気痛研究の第一人者で、日本初の「天気痛・気象病外来」を開設した佐藤純氏によると、子どもの気象病は大人とは症状の現れ方が異なり、周囲から理解されにくいケースも多いのだとか。

本記事では、佐藤氏の著書から、不登校の背景に隠れているかもしれない子どもの気象病の特徴や、親が知っておきたいサインについて紹介します。

※本記事は書籍『1万人を治療した天気痛ドクターが教える  「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本』(佐藤純:著/アスコム)から一部抜粋・編集したものです

 

天気による不調は、子どもたちの不登校の原因にもなっています

過去に私が診察した患者さんのなかに、こんな人がいました。曇りや雨の日に頭痛がひどくなり、学校に行けなくなることもあるという、高校1年生の女性Aさんです。

Aさんの頭痛がはじまったのは小学5年生のころで、最初はひどい痛みはなかったものの、中学に入ると症状が悪化し、授業中に保健室に行ったり、頻繁に学校を休んだりするようになりました。

それが周囲に「サボり」と認識され、いじめを受けるようになってしまったのです。

Aさんは、適切な治療を受けてからは元気に学校に行けるようになりましたが、中学時代に心身両面に負ったダメージは相当大きかったはず。

病気のことを他人に理解されないのは、本当につらいことだったと思います。

子どもの場合も、気象病の症状としていちばん多いのは頭痛ですが、同じ片頭痛でも、大人と子どもとでは症状の出方が異なります。

大人の場合、痛みが数時間から数日続くのが特徴ですが、子どもの場合は長時間続くことはほとんどなく、2時間ほどで治まることも珍しくありません。

しかも、治まったあとは何ごともなかったかのように、元の健康な状態に戻ります。さっきまで苦しんでいたかと思ったら、いつの間にかケロッとしている。だから、仮病やサボりを疑われてしまうのです。

それゆえに、最初はAさんのお母さんも、その症状の深刻さを理解することができませんでした。

どうにかして学校には行かせたい、休ませたくないというのが親心ですので、嫌がるAさんを強引に車に乗せて、学校に送り届けることもあったといいます。それだけ、子どもの気象病はわかりにくいのです。

 

子どもの症状と天気との関係をしっかり把握することが大事

原因不明の体調不良時に、子どもがよく診断される病名として、起立性調節障害があります。

小学校高学年から中学校の思春期の子どもに多い症状で、起立時にめまいや動悸、立ちくらみなどが起こります。症状が重くなると、朝なかなか起きられないことから、不登校につながることも多いようです。

起立性調節障害も気象病と同じく自律神経と深くかかわっているため、当然、天気による影響を受けます。

地球温暖化が進み、気候変動が激しさを増している今、気象病によって学校に行けなくなっている子どもが多くみられるようになりました。

学校に行きたくても行けずに、不登校状態を強いられている子どもはたくさんいるのです。

また、病院に行ったものの原因がわからず、精神科に回されてしまい一向に改善しないという悪循環に陥ってしまうケースも多いです。

本稿の読者には、小中高生の親御さんも多くいらっしゃると思います。

雨の日や台風が近づいているときに、子どもが頭痛や腹痛など体の不調をうったえて「学校に行きたくない」と言ってきたら、その言動を疑ったり、「精神的な問題」で片づけるのではなく、まず天気による影響を疑ってみてください。

我が子の不登校の原因が天気によるものであれば、対処法や治療法があります。

片頭痛に関していえば、ストレスなど複合的な要因が絡んで痛みが複雑なものになっている大人と違い、子どもの場合は天気との関係がシンプルですので、治療の効果が出やすいのです。

薬でみるみるうちに症状が改善されるケースは少なくないですし、それに連動して精神状態もたちどころに良くなります。

しっかり治療ができればAさんのように症状が改善し、元気に学校に通えるようになるかもしれませんので、ぜひともお子さんを心身ともにラクになる状態に導いてあげてください。

 

ここまでの記事では、「子どもの気象病」について紹介しました。つづく関連記事では、気象病のタイプ別の特徴をお届けします。
つづき>>「雨が降る前にわかる人」は要注意!? 不調の原因、実は「気圧」だけじゃないらしい…3タイプでわかる「気象病」セルフ診断

 

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著者:佐藤 純(さとう・じゅん)
天気痛ドクター・医学博士。日本慢性疼痛学会認定専門医。中部大学生命健康科学研究科教授、愛知医科大学客員教授。1958年福岡県生まれ。30年以上にわたり、気象と痛み、自律神経との関係を研究。1983年に東海大学医学部を卒業後、名古屋大学大学院で疼痛医学、環境生理学の研究をスタート。1987年、米ノースカロライナ大学に留学し、慢性疼痛と自律神経系の関係について研究を行う。名古屋大学教授を経て、2005年より愛知医科大学病院・痛みセンターで日本初の「天気痛・気象病外来」を開設。天気痛研究・診療の第一人者として「ためしてガッテン」「あさイチ」(NHK)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)などメディア出演も多数。2020年には株式会社ウェザーニューズと共同開発した「天気痛予報」をリリースし、注目を集めている。主な著書に『天気痛 つらい痛み・不安の原因と治療方法』(光文社)、『まんがでわかる天気痛の治し方』(イースト・プレス)、『「雨の日、なんだか体調悪い」がスーッと消える「雨ダルさん」の本』(文響社)、『ビジネスパーソンのための低気圧不調に打ち勝つ12の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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