「60年間、人の目を気にしてお財布を選んでいた」。61歳でついに手放せた「ブランドに頼る価値観」【一田憲子×大平一枝対談】
失敗を経て気づきがある。痛みや切なさ、もがいた時間も含めて、今の自分
一田: 私は両親から「いい子でいなさい」って育てられたから、めっちゃ優等生で育っていて、失敗することが許されなかったんですね。
失敗したら罰が付くみたいな思いでいたから、いかに失敗しないかということを考えて生きてきた。でも、最近やっと「失敗するから分かるんじゃん」みたいに思えてきました。
大平: 分かります。仕事でお題をもらった時に、「私なんかが、そんなこと書けません」って思うことがあるんです。でも、「この年齢なら、失敗を重ねた経験から得た気づきだったら書けるよな」って思ったとき、失敗することも悪くないなって。
いっぱいものを買っていっぱい捨てて、すてきな暮らしをしている人を取材したら家に帰って落ち込んで。そういう日々の痛みや切なさ、もがいた時間というものが、今の自分を作っている。そして「褒められなくても生きられる」というのは、「失敗してもいい」ということでもあると思うんですよね。
「この本は自分を許す本だと思った」。褒められたかった自分を受け入れる
大平: この本、最後まで読んで一番思ったのは、「自分を許す本だ」ってことでした。「褒められたかった自分も受け入れる」っていうことですよね。こんな自分でも愛する、許す。それって、年を重ねるほど難しいなって思っているんですけどね。
一田: 「褒められたい」と思うことを封じることはできないんですよね。評価はほしいし、褒められたいと思うこと自体は悪くない。
ただ、それ一個しかないと、褒められなかったときにペシャンとなっちゃう。例えば会社員で、上司にけちょんけちょんに言われた時、会社でしか世界が成り立っていなかったら、もうお先真っ暗になっちゃうじゃないですか。でも帰宅して、例えばパンを焼く趣味があったら、「上手にパンが焼けた」ということで自分を慰められる。
そういう、目盛りを一個じゃなくて増やすということが、承認欲求を手放すうえで大事なんじゃないかなって思います。
「褒められなくても生きられるようになりましょう」は、一田憲子さんが約1年をかけて、書きながら自分自身のファクトを発見していった一冊です。「褒められたい」という欲求を封じるのではなく、別の物差しを持つこと。テニスでも、バーの時間でも、早起きでも、草刈りでもいい。それは、あなただけが見つけられる「喜び」かもしれません。
書籍「褒められなくても生きられるようになりましょう」(一田憲子著)は、全国書店およびオンラインにて好評発売中。ぜひ手に取って、更年期世代の「生きづらさ」から少しでも解放されることを祈ります。
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『褒められなくても、生きられるようになりましょう』(1,650円(税込)主婦の友社刊)
暮らしに寄り添う文章で人気を集めるエッセイスト・一田さん。
実は、若いころから「褒められる」ことが大好きだったといいます。
「人から尊敬される人になりなさい」と育てられ、期待に応えようと一生懸命に頑張ってきた日々。
けれど60歳を過ぎ、若い頃のように成果や評価を追い続け、「人にどう思われるか」に神経をすり減らす、生きづらい日々は、そろそろ卒業したい……。
でも、これからの人生で、「褒められる」以外に、自分の心を満たすものって何だろう?
右往左往しながらも、「褒められたい」という呪縛をほどくヒントを一つずつ見つけていく、正直で力強い書きおろしエッセイ集です。
誰かの評価に一喜一憂するのではなく、
自分で自分に花丸をつけられる生き方へ――。
■1章 どうして褒められたいの?
「私を見つけて欲しい」から「自分が見つけたい」へ/みんなに人気」の「みんな」って誰?/2本目、3本目の軸を用意しておく
■2章 「褒められる」を卒業するには?
「売れなかったら負け」の世界から抜ける/自分で自分の100点満点を設定する生き方に/「あなた」と「私」の境界線をぼやかし、相手の言葉をすべて「よきこと」として聞いてみる/褒められなかったときに、心の静寂を取り戻す方法を知っておく
■3章 小さく心が満たされる日々を
暮らしの中の「心地よさ」を設定すれば、自分で自分に花丸をつける日がやってくる/人生の本筋にあるものよりも、脇道にあるおいしそうな香りのほうが、ずっと大切な記憶になる
■4章 褒められなくたってへっちゃら
自分が今、尊敬できる人を思い浮かべてみたら、「みんなに褒められている」人じゃなかった!/「褒める」「褒められる」を、上質なコミュニケーションに格上げする など
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一田憲子(イチダノリコ)
1964年京都府生まれ。編集者・ライター。OL、編集プロダクション勤務を経てフリーライターとして独立し、女性向け雑誌・書籍などの取材・執筆で活躍。暮らし、おしゃれ、仕事、人間関係、年齢の重ね方などについての、日常の中の揺らぎや気づきを丁寧にすくい取る文章で、幅広い共感を集める。『暮らしのおへそ』『大人になったら、着たい服』(ともに主婦と生活社)を立ち上げ、イベントも開催。『最後の答えは、きっと暮らしの中にある。』(内外出版社)、『小さなエンジンで暮らしてみたら』(大和書房)など、著書多数。自身のWebマガジン『外の音、内の香』では、さまざまなコンテンツを配信。ライター塾を主宰し、「書く暮らし」の楽しみを伝えている。
大平 一枝(オオダイラカズエ)
作家、エッセイスト。1964年、長野県生まれ。編集プロダクション宮下徳延事務所を経て、1995年、独立。市井の生活者を描くルポルタージュ、失くしたくないもの・コト・価値観をテーマにしたエッセイを執筆。著書に『それでも食べて生きてゆく 東京の台所』『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版)、『男の女の台所』『ただしい暮らし、なんてなかった。』(以上、平凡社)、『注文に時間がかかるカフェ たとえば「あ行」が苦手な君に』(ポプラ社)『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社)「ある日、逗子へアジフライを食べに」(幻冬舎)など多数。
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