「先生も校風も良いのに倍率は低い」中学受験で伴走中の母が娘に勧めたかった母校で、“まさかの大改革”
首都圏では、いまや2月の一大イベントともいえる中学受験。首都圏模試センターによると、2026年度入試の私立・国立中学受験者数は52,050人(前年比99.5%)にのぼり、過去40年で4番目の多さとなりました。
製薬会社に勤務する郁さん(仮名・48歳)も、小学5年生の娘の中学受験に伴走する母親の一人です。
郁さん自身も中学・高校の6年間を私立女子校で過ごし、当時を「いい思い出しかない」と振り返ります。本人との相性を尊重するつもりですが、「娘さえよければ、母校も受験してほしい」と考えていたそうです。
ところが、近年の女子校共学化の流れの中で、母校も大きな改革に踏み切ることに。かつて慣れ親しんだ校風が変わっていくことに、郁さんは戸惑いを覚えているといいます。
【どうする?小学校受験と中学校受験】#18前編
中学受験で「今は女子校希望」の娘に、出身校をおすすめしたい母の思い
神奈川県出身の郁さんは、東京都内の中高一貫女子校を卒業後、推薦入試で薬科大学に進学しました。
「中学・高校も大学も、こぢんまりとしたアットホームな雰囲気で、楽しかったんです。特に中高時代は、箸が転がってもおかしいというか、今でいう陰キャも陽キャも、全員お笑い好きみたいな環境でした。笑いの傾向が陽なのか陰なのかの違いはありますが、思い出せる限り、全員『おもしれー女』しかいませんでした。大声で笑ってばかりいるギャルも、ボソッと味わい深いことをつぶやくおとなしい子も、みんな大好きでした」
そんな郁さんの一人娘・Aちゃんは、現在小学5年生。今のところ女子校を希望していますが、雰囲気がよければ共学校でも構わないと話しているそうです。
「私もそれは同感で、偏差値がほどよく、娘に合う学校であれば、女子校か共学校かにはこだわりません。ただ、母親として重視したいのは通学時間です。娘は朝が弱く、徒歩20分の小学校への通学もつらそうなので、できれば30分以内で通える学校を考えています。そうなってくると、首都圏模試の偏差値が45くらいの娘には、やはり母校を勧めたい気持ちがありました」
幸い、Aちゃんも小学4年生のときに訪れた文化祭では郁さんの母校・B中学校を気に入った様子。夫の正雄さん(仮名・55歳)も「天真爛漫な子が多いなあ。おお、この部活では男子校との交流もあるのか」と、好印象を抱いていたそうです。
「親から見ると申し分ないのに倍率は高くない」お得校だったのに衝撃にニュースが
B中学校は、郁さんに家からは電車に乗る時間が短く「悪くない立地」だそうですが、駅からは若干距離があるんだとか。
「そんな理由もあってですかね。親から見ると、先生の質も、推薦枠も、のんびりした雰囲気も申し分ないのに倍率は高くなかったんです。そんなところも『娘に無理させずマイペースな勉強で受験させられるかも』と、期待していました。塾の先生にも当面の第一志望候補と伝えて、イベントなどにも参加するつもりだったのですが……」
ある日、ネットニュースを開いて飛び込んできたのは、母校が、より規模の大きな学校法人C学園の傘下に入り共学になるという知らせでした。
「正直、呆然としてしまいました。確かに、偏差値は上がりそうな気がします。ニュースメディアも、共学化によって倍率が上がるのではないかと、まるで株価のように分析していました。ただ、私の在校生時代の雰囲気とC学園は、水と油というか……。おっとりした校風が気に入っていたので、進学実績を重視する学校に変わってしまうのではないかと不安になりました」
とはいえ、卒業生向けの説明では、これまでの学校の特色も大切にしていく方針が示されていたそうです。
ドラマ『白線流し』世代の母。女子校は大好きだったけれど、共学への憧れも?
「私は、娘が共学に行くこと自体には反対ではないんですよ。ただ個人的には、女子校はとてもよかったです。学校では女子だけでひょうきんな仲間たちと自由にふざけて、週に何日かは塾に行き、他校のかっこいい男の子に話しかけられてときめく。そんな、ほどよい青春を楽しめましたから」
当時の母校には、男女混合であり続ける社会に出たらもう経験できない「女子同士の密な友情をはぐくむ」土壌があったと郁さん。
「とはいえ当時は不満はゼロではないです。サマーキャンプで星空観察をしたときは、満天の星を眺めながら『なんで男子おらんのじゃ』『なんであんたと星見てんの、あたし』と、友達同士でブーブー言っていました。ドラマ『白線流し』世代なので(笑)。ですから最初は、共学化しても一応は受験するつもりだったんです」
しかし、Aちゃんの通っている個別指導塾の講師は、「AさんとAさんのお母様には向かないかもしれない。少なくとも、今は」と、受験に難色を示したそうです。
つづく▶▶「低倍率で娘に合う学校」が入学時には別の学校になる!?【中受志望校選び】想定外の変化をどう乗り越えるのか
では、塾講師がB中学受験をすすめない理由と親子が見つけ出した「打開策」をお伝えします。
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