たった3%の人だけがやっている、幸せを呼ぶ◯◯の残し方

「すでに遺言書を書きました」

こういうと大抵の方は、驚かれます。遺言書は、寿命が近づいてきたと感じはじめたときや、もっと高齢になってから書くものと思われているからでしょう。

イメージというのは、変えるのが難しいものです。清純派で可憐なイメージの女優さんが、実はものすごく男っぽい性格だったりすることはよくある話。そうなると本人は、イメージのギャップに悩まされることになります。遺言書と女優を比べるのはどうかとも思いますが、「遺言書を書くなんて縁起でもない」というイメージは未だに強く持たれています。

ですが、そのイメージは時代と共に徐々に変わっていくはず。いえ、自分の思いを伝える自己表現のひとつとして、変えていかなければいけません。以前、Vol.27Vol.28の遺産相続でも述べたように、遺言を書くことはメリットが多いのです。アラフォー、アラフィフ世代であれば、遺言書をもっとライトなものとして捉え、計画書を書くような感覚で取り組んでみてはいかがでしょうか。

遺言書は書く予定、でも準備はまだ

 

周囲にいる同世代で遺言書を書いたことがある人は、かなり少数派です。一般的には、どれくらいの方が遺言書を準備しているのでしょうか。日本財団が40歳以上の男女を対象に実施した「遺贈に関する意識調査」(2016年3月)によると、全体の3人に1人、独身では2人に1人が「遺言書によって自分の意思を残したい」と思っているにも関わらず、「すでに準備している」と回答した割合は、わずか3.2%となっています。

 

さらに同調査で「遺贈の意向」を聞いたところ、3人に1人が遺贈に対して前向きであることが分かりました。とくに独身女性の50.6%が「遺贈に前向き」で、遺贈意向が高いことが明らかになりました。法定相続人に財産を残す必要のない世帯の方が、「貧困家庭支援」、「難病支援」、「災害・復興支援」など、身近な社会課題に対して、自分の財産等で還元したいとの考えが強い傾向にあります。

 

苦労して築いてきた財産を、少しでも有意義に使ってほしい。子孫がいない“おこなしさま”であれば尚更、「遺産はこう使ってほしい」と、自分の意思を遺言によって残せるのです。言い換えれば、遺言がなければ意思がないのと同じことです。

 

日本財団は、遺言書に対して「準備が必要だと思うが、まだ作成していない」層が多いことから、遺言に関する正しい理解と、人生の最期について大切な人と話し合うきっかけをつくろうと、1月5日を「遺言の日」と制定。今後少しずつ、遺言書を書く人の割合が増えていくのではないでしょうか。

 

実は何度でも書き直せる

 

遺言書は書くまでは気持ちの面でのハードルはあるかもしれませんが、いつでも書き直すことができるので、さほど身構えなくても大丈夫です。人の気持ちや状況は、年月とともに変化していくものなので、気が変わったら何回でも書き直せばいいのです。仕事の書類でもまず、たたき台があると作りやすくなるのと同じように、一度書くことで自分の遺言書の基本フォーマットができ、更新時は書くのがラクになります。

 

遺言は、大きく分けると2つのカテゴリーがあります。1つはエンディングノートや非公式な書面、動画や録音、パソコンやメールなどで作成した法的効力がないもの。もう1つは、正式な遺言書として作成され、法的な効力があるものです。

 

法的な拘束力がないものでも、思いやメッセージを書き残すことができるので、遺族などに希望を伝えられるメリットがあります。残された人たちに伝えたいことはエンディングノートなどに、遺産相続のことや遺贈に関することは、法的に有効な遺言書の形式で書くようにします。

 

法的に認められる遺言書は、3種類あります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、ご自身の意思や目的にあったものを選択するようにしましょう。

遺言書の3タイプ

1・自筆証書遺言

遺言者が遺言の全文、日付、氏名をすべて自筆で記入し、押印した遺言書

[メリット]

・手軽に作成でき、費用がかからない

・遺言書を書いたことを秘密にできる

[デメリット]

・形式や内容の不備により、遺言が無効となる恐れがある

・発見されないことや紛失、偽造、盗難される恐れがある

・遺言者の死後に家庭裁判所で検認が必要

 

2・公正証書遺言

遺言者が証人の立会いのもと、公証役場で公証人に作成・保管してもらう遺言書

[メリット]

・公証人が作成するため、形式違反や不備で無効になることがない

・原本が公証役場に保管されるため、紛失や偽造の恐れがない

・遺言書の検認が不要のため、早期に遺言の実行ができる

[デメリット]

・費用と手間がかかる

・証人の立会人が2名以上必要

 

3・秘密証書遺言

遺言を作成して日付、署名、押印をしたあとに封印。これを公証人と証人の前に提出し、証人とともに署名押印する遺言書

[メリット]

・遺言内容を秘密にしたまま、遺言の存在を明らかにできる

・署名することができれば、本文は自筆だけでなく、ワープロや代筆でもよい

[デメリット]

・公証人が内容を確認できないため、法的不備があると無効となる恐れがある

・遺言者自身で保管するため、紛失や盗難の恐れがある

・費用がかかり、証人が2名以上必要

・遺言者の死後に家庭裁判所で検認が必要

 

それぞれに特徴があります

手軽なのは自分で作成できて費用がかからない「自筆証書遺言」ですが、様式や内容の不備があると無効となるため注意が必要。費用や立会人を要し、手間はかかるけど無効になる心配がないのが「公正証書遺言」。自筆証書遺言より存在性は高いが、公正証書遺言ほど万全ではない「秘密証書遺言」と、それぞれ特徴があります。

 

「公正証書遺言」の作成手数料は、相続人(または受遺人)が取得する財産の額や受け取る人数によって変わってきます。作成手数料の目安として、財産額が100万円以下なら5千円、200万円以下で7千円、500万円以下で1万1千円と、徐々に金額は上がっていきます。「秘密証書遺言」は財産の金額にかかわらず、手数料は定額で1万1千円です。

 

世間一般での遺言書の割合は、日本財団「遺言書に関する調査」(2016年12月)によると、自筆証書遺言の作成者が69.5%、公正証書遺言が17.5%、秘密証書遺言は1.5%となっています。アラフォー、アラフィフ世代であれば、まずは「自筆証書遺言」で作成してみることをお勧めします。

 

次回は、自筆遺言書の書き方について取り上げます。

 

たった3%の人だけがやっている、幸せを呼ぶ遺言の残し方 【おこなしさまという生き方 Vol.29】

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