結婚は「子どもを産む」手段なのか?婚活マネージャーが斬る40代の呪縛
こんにちは。40代の婚活を応援する結婚相談所SUN SUN CALLの婚活マネージャー野上今日子です。
【40代の婚活塾】というタイトルで連載させていただいていますが、女性の“40代”は、実はひとくくりに出来ない年齢でもあります。今回は特に40代前半の女性にありがちな婚活事情について、私が以前担当させていただいた方のケースを元にお話ししたいと思います。
【40代の婚活塾#8】
出産へのカウントダウン
婚活している人を見ると、その年齢なりの焦りがある事が分かります。友人がポツポツと結婚し始める20代半ば。結婚適齢期と言われる30歳前後。そして出産のタイムリミットという40代前半。
特に40代前半は「子どもが産めるかも知れないギリギリの年齢」であると自覚しているので、なんとしても結婚し、出産したいという焦燥感にかられるのです。
何故、出産したいのか? と聞くと多くの女性から
●女として生まれてきたからには産みたいという本能
●それまで仕事を頑張ってきて、社会的生き物として存在していたため、子どもを産み育てるのは当然という考え
●親に孫を抱かせてやりたい、親孝行したいという気持ち
という答えが返ってきます。
その根底には、
「子どもを産んでこそ一人前」
という刷り込みがあります。
もはや洗脳と言ってもいい「子どもを持たない女性は失格」的な価値観が植えつけられ、いつしか自分自身でもそう思ってきたのです。
結婚は子どもを産むための手段?
40代まで仕事を頑張ってきて、それなりに成果をあげてきた女性たちは「頑張れば報われる」「やってやれない事はない」という錯覚に陥りがちです。
私が以前担当した、まさに41歳の女性(Nさん)は39~40歳の間マッチングアプリに登録し、お見合いを繰り返してきました。
しかし、マッチングアプリでは、単なる恋人がほしいと思っている男性が多く、なかなか結婚に進みそうな人とは出会えません。Nさんは「子どもを産まないなら、逆に結婚は考えられない」と言うほど、出産を熱望していました。
「夫よりも子どもが欲しい…」
私が最初に面談した時もはっきりとそうおっしゃっていました。
そのため、結婚相談所に登録してからも、同世代か年下の男性を希望していました。
男性はちょっとぐらい年上でも子どもを持つことが可能なので「年齢の条件を広げてみては?」とアドバイスしても、Nさんは「子どもが成人になるまで現役で仕事をしていただかないといけないので年上はNGです!」とあくまで同世代か年下を主張します。
しかし、逆に結婚相談所は子どもが欲しい男性が多く、そういう男性にとっては41歳の女性はまず年齢でふるい落とされるのが現状です。
そう、40代で妊娠・出産した人は多くいますが、一般的にはレアな部類に入るでしょう。もし奇跡的に妊娠できたとしても大きなリスクをともないます。
なのに、なぜか自分は大丈夫と思うのです。
自分は妊娠できる。そして無事に出産できると信じ切っています。
なぜそう思えるのか…。
ちなみに、これは著名人の影響も大きいかと思います。
不妊治療の末、高齢出産を果たした芸能人がたまに話題になりますが、どれだけの期間、どれだけの金額をかけてきたかはあまり報道されません。
しかも、報道されるのは無事に妊娠・出産できたケースだけ。
途中であきらめた人はほとんどその事実を言わないので、40代でも妊娠・出産が(わりと簡単に)可能だと思われるのです。
人生で唯一足りないのは“子ども”というピース
話はそれましたが、先ほどのNさんですが、結婚相手というより、子どもの父親となるべく相手を探して必死でお申込みをするも、なかなかお見合いが組めませんでした。
彼女自身は42歳を出産のリミットと考え、41歳のうちになんとか成婚に持ち込もうと必死です。
その間、彼女には何人ものお申込みがありました。そのほとんどは年上で、子どもに関しては「どちらでもいい」というお考えの方。
中には再婚で、お子さんがいらっしゃる方もいたので「どうしても子どもを持ちたいなら、お相手のお子さんを一緒に育ててみては?」と言いましたが、自分が産んだ子どもでなければいけないと頑なです。
彼女も「人間は子どもを産んで育てて一人前」の価値観にがんじがらめになっていたのです。
さらに、これまでどんなにつらくても、頑張って仕事をしてきて、成果を上げ、社内で女性初の役職を手にした彼女は、「努力は必ず報われる」という言葉を支えに生きてきました。
子どもを持つことは、それまで自分の力でいろいろなものを手に入れてきた彼女にとって、足りない最後のピースでした。
そして、そのピースが揃えば自分の人生が完璧になると考えていたのです。
仕事の成功もステイタスも女性としての幸せも人間としての義務も果たした私という充足感。そう、子どもは完璧な人生の象徴なのです。
求めているのは父親?それともパートナー?
しかし、申し込みを断られる事も多く、たまにお見合いが成立しても、そのお相手に対し「ピンとこない」と言っていた彼女に少しずつ変化が出てきました。
最初の変化は「子どもの父親という目で選んでいた時は、年収と年齢だけを見ていましたが、実際に何人かとお会いしたら、それだけではない気がします」とおっしゃいました。
「最初はどんな方がいいの?」と聞いても、年齢と年収の条件以外は「うーん、優しければどんな人でもいいかな…」とぼんやりしていました。
でも、徐々にではありますが「不思議と話が弾む人がいて、そういう人といると自分もずっと笑っていられます」という言葉が出るようになってきました。
人間は条件だけで人を愛せるわけではありません。
気が合う人
気を許せる人
気を使わなくてもいい人
自分が自然体でいられる人といることが幸福感をあげます。
しかも、子どもは産んだらハイ終わり、ではないのです。子どもの成長と人生と命を守り、育て上げるには一緒に子育てをしてくれる人が必要です。そしてその人は、「この人の子どもだから産みたい」と思える人でなければなりません。
まずはパートナーとして一生を共に生きていけるか。そしてその先に子どもがあるのです。
彼女はその事に気づき始めたようでした。
それでも子どもはあきらめられない
それからは、今までならお断りをしてきたであろう方からの申し込みに対しても、「会ってみるだけ会ってみようと思います」と少しだけ相手の条件を広げてきました。
ただし、子どもをあきらめたわけではありません。あくまで出産を希望するという前提で、条件だけではなく趣味や気が合いそうな人とも一応お会いすると。
実際、趣味が同じ人やプロフィールの文章に好感を持った人と会って話してみると、「子どもの父親となるために年齢と年収だけで選んだ人」と話すより「すごく楽しかったです」と言って帰ってくる事が増えました。
そして「どんな人といると自分が心から笑えるのか段々分かってきました」と、前向きな発言も出るようになってきました。
「私、断られてもどんどん申し込みます。自分がパートナーに求めているものも分かってきたし、なんだかそういう人と出会えるような気がします。それを踏まえた上で、この人の子どもを産みたいと思う人を探します」とやる気満々です。
私はそんな彼女の話を聞き、うれしい反面、ちょっとだけ不安も感じていました。
それは、やはりその境地になってもまだ出産を第一優先に考えていたからです。
先ほども言いましたが、あくまでパートナーが先で、子どもは「授かりもの」というスタンスでいなければ、結婚したはいいけれど、いくら頑張っても結果のでない妊活に心が折れてしまうケースはよくあります。
しかし、前向きになっている彼女のやる気をそぐわけにはいきません。私は成り行きを見守る事にしました。
活動を開始し半年、自分が求めるパートナー像が分かり始めて3カ月。彼女が最終的に決めたのは…?
SUN SUN CALLは日本結婚相談所連盟(IBJ)に加盟しています。
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