女の人生は◯◯◯がいるかどうかで大きく変わる 【おこなしさまという生き方 vol.2】
「結婚しているか、していないか」
世の中「独身」か「既婚」で分けられることが多いけど、「結婚の有無」より「子どもの有無」の方が人生の歩み方に違いが出るのではないか。年齢を重ねるごとに強くそう感じるようになりました。
生活リズムの中心になるもの
「男は仕事、女も仕事」があたりまえになった現代では、寿退社は死語になりつつあります。結婚しても変わらず働き続ける女性が増えたため、結婚の有無でライフスタイルは大きく変わらなくなってきました。
当然、子どもがいれば子ども中心の生活になります。ママたちは自分の時間を削って、子育てに奮闘する毎日。子どもがいない“おこなしさま”は既婚でも未婚でも、自分が中心であり、親にならなければ生活のリズムにさほど変化はありません。
子どものために早起きしてキャラ弁を作る必要がないため、生活時間帯は夜型になりがち。仕事帰りに、美味しいと評判の新しいお店に行くのも自然と“おこなしさま”同士が多くなります。
知りたい情報、お金の使い方も違う
40代以降になると恋愛トークはめっきり減ってきますが、年下世代とのギャップから旅先でのエピソード、シミや小ジワに効く最新美容医療のことまで、ベテラン女子ならではの話題で深夜まで盛り上がります。
対して、お受験のことやPTA役員の大変さは、“おこなしさま”にはよく分からない世界。母か、母じゃないかによって、知りたい情報や関心事、生活サイクル、お金の使い方が違ってきます。
「独身・既婚」で線引きするより、「子どもの有無」で分けた方が共通ポイントは多く、視点が似ています。「子どもの有無」と「女性の価値」は全く別ものですが、人生の歩み方の断層は「子ども」です。
こんなときどうなる? おこなしさまの不安
子育てのない“おこなしさま”は、一見自由を謳歌しているように見えます。ただ、それは元気で働いていられる間の特権であって、老後がうっすら視線の先に見えてくると多くの不安を抱えるようになります。
「この前、親の手術に立ち会ったけど、年をとった時に私の場合はどうしよう」
「もう孤独死は覚悟しているけど、できるだけ早く誰かに見つけてほしい」
だんだん年老いていく親の姿と、自分の将来の老後が重なり、年齢が増すごとに不安は募る一方。しかも年のせいか身体のあちこちに不具合が出てきて、鍼灸や整体に足しげく通い、人知れず婦人科系の疾患に悩まされていたりします。
将来、頼りになる存在は?
体力が衰えはじめ不自由を感じた時、頼りになる子どもはいない。老後のために子どもを産む人はいないと思うけど、何かとサポートをしてくれたり、心強い存在になることは間違いないはず。夫やパートナーとはお別れしても、子どもとの絆は永遠でしょう。
“おこなしさま”の娘を心配してか、親からは「甥っ子」を可愛がって老後は手助けしてもらいなさいと言われるが、たかが親戚のおばさんのためにそんな負担はかけられません。
だいだい一人っ子で子どもがいなければ、「甥っ子」「姪っ子」の存在すらいない。二人姉妹で「一方のみ子どもあり」はよくあるパターンだけど、「どちらも子どもなし」も近頃はめずらしくない。みなさんも実感として、周りに子どもを産まない女性が増えたと感じているのではないでしょうか。
本当のおこなしさま世帯数
厚生労働省が発表する「合計特殊出生率」は、「15~49歳の女性が出産する子どもの平均数」です。出生率が1.42だとすると、その中には3人産んだ人もいれば未産の女性も含まれます。平均数だと、一人の女性が1人以上産んでいるような印象を受けますが、出生率の数値だけでは、実情がよく見えてこない側面があると思います。
ただ今のところ国としては、生涯子どもがいない比率は算出していません。確かに、40才の女性がこれから産むか、産まないか判断するのは難しいでしょう。総務省統計局による国勢調査では「単独世帯」「夫婦のみの世帯」「夫婦と子供から成る世帯」などの統計はあるものの、前者2つが元々子どもがいない世帯なのか、それとも子どもが巣立っていった後なのか、そこまで調査の項目には含まれていないようです。
女の人生の「標準コース」とは
「結婚して子どもを産んで幸せな家庭を築く」
若い時は何の疑いもせず、自分もそうなると思い込んでいたのに現実は違った。
独身のまま「未婚」、または結婚はしたけど「未産」。子どもを産み育てるまでが標準コースだとしたら、どちらも「未」のまま単位不足の落第生です。
ですが、誰もが同じ道を選ぶ「人生の標準コース」が崩壊しつつある近年では、「未」がついたままでも落第点はつかず、多様性として徐々に認められるようになってきました。一部からは今だ、「女だったら子どもを産め!」的な発言が後を絶ちませんが、時流が読めていない上に、女性の心情や現状を理解していないと言わざるを得ません。
すでに個々の生き方が多様化した社会になっており、標準コースばかりが女性の生き方ではなくなりました。人生の歩み方に違いがでるとするならば、それは子どもの存在になります。
女性のライフコースは「子どもありコース」か「子どもなしコース」の二極化時代。どちらのコースを歩むことになったとしても、平等に幸せな人生を送れる社会を望みます。
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