「冷え性は足先を温める」は、ホントorウソ? 名医・池谷敏郎先生の答えは?
1月17日放送のテレビ番組『林修の今でしょ!講座』の「あなたの知識はもう古い!?2017年最新研究で分かった名医の『朝食検定』」にて、最新研究をもとに、朝食の新事実を解説された池谷敏郎先生。肉と魚、どっちを食べたら良い?パンを食べる時は焼く?焼かない?など、予想と反する結果に驚いた方も多いのではないでしょうか?
池谷敏郎先生によると、今回の番組で取り上げられた朝食以外にも、9割の人が勘違いしている健康の常識がまだまだあるそうです。常識と思っていたことが覆される本当の健康常識を池谷先生の最新刊『いまさら聞けない 健康の常識・非常識』からご紹介します。
『「風邪薬」を飲めば風邪は早く治る』は正解?不正解?
風邪はひとつの病気ではなく、鼻や喉で起こる急性の炎症の総称です。風邪はひかないに越したことはないのですが、もしひいてしまったら、みなさんはどのように対処しているでしょうか。おそらく、「病院に行って、風邪薬をもらって飲んで、安静にしている」という答えが圧倒的に多いと思います。しかし残念ながら、その対処法では風邪を治すことはできません。なぜなら、風邪そのものを治す風邪薬はないからです。
一般的に出されている風邪薬は、解熱鎮痛剤(熱を下げて喉や関節、筋肉の痛みをやわらげる)、鎮咳去痰薬(咳を止めて痰を切る)、抗アレルギー薬(くしゃみや鼻水を止める)、総合感冒薬(前記3つの薬を配合したもの)の4つに大体が分類されています。そのため、風邪薬を飲むと咳や鼻水、発熱などのつらい症状が一時的に緩和されるわけです。
→正解は、風邪薬を飲んでも風邪は治らない。
風邪は本来、自然に治るものなのです。ただし、つらい症状を少しでも楽にするための対症療法としての薬は処方します。
『足先を温めていることが良い冷え性対策だ』は正解?不正解?
冷え性の原因には、ストレスや不規則な生活による自律神経の乱れ、きつい下着や靴などで体を締めつけて起こる皮膚感覚の乱れ、貧血や低血圧などによる血液循環の悪化、女性ホルモンの乱れなどがありますが、池谷先生のクリニックを訪れる冷え性の方々は、ほぼ共通して「運動不足」が原因であるそうです。
運動不足が招く冷え性の解決には、「歩く」習慣をつけることが最も効果的です。足を使うと、血管の内皮細胞から「NO(一酸化窒素)」が分泌されて血管を拡張し、血流を増やして、足に温かな血流が行き届く「温水暖房」のような状態が作られます。これこそが冷えを改善する最善策なのです。
しかし多くの人は、足先にカイロや湯たんぽを当てたり、厚着をしたりといったことに余念がありません。体を表面から温めれば、足の血管が広がるので、一時的に温まることは確かです。しかし今度は、体表を流れる温まった血液から熱がどんどん体外へと逃げていってしまうため、足も体もますます冷えてしまうのです。これはいわば、ストーブの前に行くと離れられなくなるのと同じこと。体を冷えから守っているだけで、改善を図ることはできません。
→正解は、足を温めると冷えはさらに悪化する。歩く習慣をつけて改善を!
足の冷えを解消したければ、ぜひ「歩く」ことをおすすめします。実際、この方法で冷え性と縁を切ることができた人は、たくさんいます。
いかがでしたでしょうか。世の中の常識として広く知れ渡っていることや、正しいと思っていた健康情報は、日々進化していく医学研究によると、否定されることもあります。池谷敏郎先生の著書『いまさら聞けない 健康の常識・非常識では、上記の他にも勘違いされがちなさまざまな健康の常識・非常識を解説しています。こちらの書籍を参考に、あなたの持つ健康の常識を更新してみてはいかがでしょうか?
池谷敏郎 池谷医院院長、医学博士。1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、東京医科大学病院第二内科に入局、 血圧と動脈硬化について研究する。1997年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科・循環器科、現在も臨床現場に立つ。 東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医としても活動。 テレビ番組『駆け込みドクター!』をはじめ『林修の今でしょ!講座』『世界一受けたい授業』などに出演。 わかりやすい医学解説が好評を博している。著書に「池谷式まいにち、血管若返り!1日1分の習慣 日めぐりブック』(宝島社)などがある。
著者:池谷 敏郎
定価:本体1200円+税
https://www.amazon.co.jp/dp/4074221551
名医池谷敏郎先生が教える、健康の常識とは?【風邪薬は飲むべき?冷え性は足先を温めるべき?】
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